第一章〜友情の足枷〜

30page 罪の意識












屋上へ向かう途中、何人もの風紀委員とすれ違った。

みんな驚いた顔して、私を見てた。

走りやすく短く破られたスカート、邪魔な眼鏡は途中で捨てた。
きっと、恭弥さんに見つかったら、怒られちゃうな。
そんなことを考えながらも、心は軽かった。

全身の傷なんて気にならないくらい身体も軽くて、どこまでも飛んでいそう。

走っていると、リボーンくんが廊下にいた。










「大したもんだな、それが秘められたおめーの力か。」

「どいて、リボーンくん。」








さっきまで風紀委員室にいたはずのリボーンくん。
赤ちゃんが、私の走りよりも早く先回りしていたなんて普通なら考えられないけど、リボーンくんなら出来そうだな…なんて。

屋上まであともう少しなのに、リボーンくんはどこうとしない。

…赤ちゃんなんだから、無視してすり抜けれるはずなのに、それが出来ないのはなんでなんだろう。









「その真の姿を見てますます気に入ったぞ、雲雀のやつに縛られてねーで俺のところに来ねぇか?」









ニヤリと笑うリボーンくん。

その小さな小さな手を私に差し出して、挑発的に私を見る。

リボーンくんの言葉を頭の中で反芻して、少し考えてみたけれど、私の中に答えはひとつしかないみたい。










「私はね、縛られてるんじゃないの。」










ガラリと廊下の窓を開ける。

軽やかにその淵へと飛び乗れば流石のリボーンくんも少し驚いたような顔をした。


くすくすと、思わず笑いがこぼれる。

恭弥さんにされてきた事は、たしかに耐え難い苦痛で、理不尽で、私を縛っているのかもしれない。











「でも、仕方ないよね」









そう言うと同時に、山本くんと沢田くんが落ちてくるのが見えた。

私はひらりと、何のためらいもなく窓の淵から飛び降りる。


何も言わず、ただただ私を見てるリボーンくんに、そっと一言。










「私は、罪人なんだから」











ねえ、ありがとうリボーンくん。

私という存在を、私に再確認させてくれて。











私は山本くんと沢田くんを抱きとめる形で一緒に落ちた。












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