第一章〜友情の足枷〜
15page 忍び寄る小さな影
コポコポコポ…、
あまり使われない廊下の端にある消火栓。
そこからは似つかわしくない音と、香ばしいコーヒーの匂いが漂っていた。
ある風紀委員の1人が見回り中にその異変に気づく。
「な、なんだ…、なんでこの辺だけこんなにコーヒーの匂いがしているんだ…、とにかく委員長に報告を、」
「その必要はねぇゾ。」
風紀委員が怪しがりつつもその場を離れようとした時、消火栓から可愛らしい声が聞こえる。
バァーン!!!
勢い良く開いた消火栓の扉は風紀委員に直撃し、怯ませる。
中から出てきたのは黒いスーツを着込んだ赤ん坊だった。
「なっ…、何だァこのガキ!?」
「ガキじゃねぇ、リボーンだ。」
リボーンと名乗る赤ん坊は、赤ん坊とは思えぬ力で風紀委員を消火栓の中へと引きずり込む。
本来ホースが入っているはずのその場所は、小洒落た喫茶店のような部屋に変わっていた。
「な、ななな、何もんだお前!??!??並盛に勝手にこんなことして、委員長が黙ってないぞ!!!」
「ふふん、その委員長についてお前に少し話してもらうゾ。」
コーヒーカップを片手に、赤ん坊とは思えないようなニヒルな笑を浮かべるリボーン。
右手に握るリボルバーのその威圧感は偽物ではないと感じさせるには充分だった。
「さあ選べ、喋らずに死ぬか、喋って記憶を飛ばされるか…。」
こうして哀れな風紀委員の1人は、放課後消火栓の前で気絶している所を雲雀に咬み殺されるのであった。
────────────────────
「ふん、したっぱ中のしたっぱにしては中々良い情報を持ってやがったな。」
雲雀について吐かせた情報をレオンに纏めてもらい目を通す。
やっぱ俺の睨んだとおり、コイツはツナのファミリーに必要不可欠な存在だ。
今から対策をねらなきゃなんねーな。
「気になるのは、異常なまでの獄寺への殺意…か。」
俺はツナの様子を見るために近くにいた。
その時、応接室にいた雲雀恭弥から異様なまでの殺意がツナの教室へ飛ぶのがわかった。
ボンゴレ10代目候補を消そうと目論んでるやつかと思えば、殺気が向けられているのは獄寺だった。
何故獄寺に殺意が向いているのか?その理由を知りたかったが…、
「ふん、やっぱりしたっぱの情報だけじゃあ足りねぇな。」
これといった理由も見つからず、また一口コーヒーを啜る。
「まぁ、獄寺は無事ツナのファミリーになったんだ。雲雀の情報集めてる間に次のファミリー候補をファミリーにさせっか。」
次のファミリー候補、山本武への対策を考えながら、俺は並盛中学を後にした。
15page 忍び寄る小さな影
(そういや、ツナのやつ獄寺と上手くやってっかな)
prev- return -next