第一章〜友情の足枷〜

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「う、うん、」


朝日だろうか?
キラキラとした光が眩しくて思わず目が覚めた...のだか。




「あ、あれ…、前が見えにくい、」




瞼が重く視界が悪い。
触れてみるとプックリと熱を持っていて、昨日の流しすぎた涙が原因だと気づくのは容易かった。

でも、これじゃ動き辛いし、何よりこんな顔で学校に行けない…。
今日は小テストの日なのに、どうしよう。






「おはようございます唯様、具合はいかがでしょうか。」







困っていると、お屋敷のメイドさんらしきこえがきこえる。
よ、よかった、とにかくなにか冷やすものを!







「あ、あの、目が腫れてしまって、何か冷やすものを…、早くしないと遅刻してしまう…」

「冷やすものですね、畏まりました…、ですが、本日唯様は学校をお休み下さいませ。恭哉様からのご命令でございます。」







えっ…
休む?私が学校を…?
しかも恭哉さんの命令…?







「唯様のお身体を気遣われて、本日はお休みいただくよう仰せつかっております。そして、今日1日の身の回りのお世話は私共が致しますので、なんなりとお申し付け下さいませ。」







ど、どういう事だろう。
まだ寝起きだからか、理解が追いつかない。

恭哉さんは私をいつも監視下に置きたがる、だから昼間は例えどんなにボロボロでも学校には行かなければならなかった…。

テストがあったりするとそれはもう余計に、並盛の秩序を乱してはいけないからと…。

そして私の周りになぜかメイドさんをあまり付けたがらなくて、私の暮らす離れにはほとんど人が居ないことが多い。
接するとしても、食事を持ってきていただく時や、屋敷を出る時くらい。
大体は草壁さんが監視の名目で様子を見に来たりされるから、これは本当に珍しいことで…。






「恭哉さんはどちらへ…?」

「勿論、朝早くから並盛を巡回されそのままご登校されました。」






説明を受けている間に別のメイドさんがやってきて、冷たくしぼったタオルを渡してくれる。


ひやり、


タオルの感覚が心地いい。








「でも…、私今日テストが、」

「ですが、恭哉様からは一歩もお部屋から出させるなとのことでして…」







困ったように言うメイドさんに、これ以上ワガママを言えるはずもなく。

今日は甘えて、身体をじっくりいたわってあげることにした。







「では、何かございましたらお呼び下さいませ。」








そう言うと、メイドさんは部屋から出て行った。

滅多に無い、監視の目がきにならない1日を、1秒ごとに噛みしめながら、私は布団に潜るのであった。










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「えー、華鈴は体調不良で本日は休みだ。」




えっー、



朝のHR、担任から簡潔に告げられた一言に俺は時間が止まったようだった。

今朝も朝練の前に走り込みをして、気持ちの整理をつけて朝練に取り組んで、華鈴に会えるのが少し怖くも楽しみだった。

でも、その華鈴が、休み…?






「…、俺が、あんな事したから、」







誰よりも男子に怯えていた華鈴、思い返してみれば、俺は何て事をしたんだろうか。

2人きりの誰も近寄らない屋上で、華鈴の事情も知らないで、迫ったーーー…






「ーーーっっ」







その日は、何も頭に入らなくて、何も身につかなかった。

後から聞いたら転校生が来たとか、爆発があったとか、全く気づかないくらいに俺は頭が真っ白だった。

部活でもすっげぇミスして監督にどやされた。

それでも、俺は何もかも右から左だった。

ああ、俺、どうしたらいいんだろう










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(…きっと、恭哉さんのさんの気まぐれよね。)(本当に、もう二度と華鈴と話せねぇのかな、)


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