序章〜愛の首輪〜

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「…ふふ、疲れたね?唯、」



たくさんたくさん虐めてあげたら、疲れ果てて傷に触れてもピクリともしなくなった。
瞑られた瞳は真っ赤に腫れて、起きる頃には目を開けられないんじゃないかな。
少し熱を持つ瞳にキスを落とし、濡れタオルを当ててやる。






「全く、本当に手のかかる。」






何度も、何度も傷つけても、唯の肌には傷一つ残らない。
どの医者に調べさせても、代謝が人よりもいいのだろうとのことで片付けられる。
僕のものと見せつけてやりたいのに...、一週間もたたないうちに全ての傷が癒えてしまうもんだからたまったもんじゃない。

あの時の傷は、未だに唯のこの綺麗な肌に残り続けているというのに、僕の所有印が残ることは無い。

そっと、内ももに手をすべらせると、滑らかな肌に痛々しく残る傷跡。



ギリリーーッッ


思わず唇を噛み締める。
口の中に血の味が広がるけど知ったことじゃない。
未だに見つからない、唯に傷をつけた男への恨みが、怒りが、憎悪が、腹の底からこみ上げてくるのがわかる。

どれだけ今、僕の監視下においていても…。
どれだけ今、唯に近付く草食動物を咬み殺しても…。
どれだけ今、唯に僕を刻みつけたとしても…。




この傷が、消えるわけでも…、あの時の唯を救えるわけでも無いんだから…。






「ああ、ああ…、唯、愛してる、愛してるだけなんだ…。」






この愛が、たとえ唯に理解されなくても。
唯を縛り続け、傷つけるだけだとしても…。

それでも、もう二度と僕の目が、手が届かないところで、唯が傷つけられるよりは、泣かれるよりは…。









「愛してる、唯…。」







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(僕のために、君の首を絞めるくらいの首輪をかけよう。)



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