序章〜愛の首輪〜

1page 平穏の為のルール



私、華鈴唯は、どこにでもいるような、ただの中学2年生だ。

身長は150cmと低めだけど、顔は普通、髪も染めてない、成績も中…たまに下、そんな、本当にどこにでもいるようなただの中学2年生なのだ。

そんな平々凡々の私なんだけど、平和に学生生活を送るためのルールが3つある。


ルールその1、


「ねーえ、華鈴さんって、何でそんなスカート長いの?膝丈とか古くない?」

「あ、あはは…、ほ、ほら、生徒手帳には膝丈って書いてあるじゃ、ない?」


制服は校則を破らずに規則正しく着ること。


ルールその2、


「それに、可愛い顔してんのにダッサイメガネかけてるし!」

「わっわっ…!は、外しちゃダメだよ!?外さないで…!!」


外でメガネを外してはいけない。


そして、ルールその3…、


「はよー!華鈴!今日も真面目そーな格好してんのなー!」

「…っ!!!!」

「あー、山本じゃーん、おはよー!」

「おう!蝶原もはよー!」

「"も"って何だよ、"も"って!ついでかよ!…って、華鈴さん?」


他の生徒、特に男子生徒との必要以上の接触をしてはいけない。


カタカタと震える身体。

ひたすら下を向き、その場をやり過ごそうとする。

いつも、挨拶をしてくれるクラスメイトの山本武くん…、クラスの人気者で、こんな地味な上に愛想も悪く全力拒否をしている私にもめげずに挨拶をしてくれる、いい人…?

いい人、だけど、私は困るのだ、とてもとても…。

私は、ただ普通に、平和に、何事もなく、学生生活を送りたいのだから…。


「あー、華鈴さん男の人苦手だっけ?」

「あちゃー、毎日声かけてるのになー、まだ慣れてくれないかー。」

「…ご、ごめ、」


前の席に座る蝶原紀伊千さんは、よく私のことをフォローしてくれる、ありがたいクラスメイトだ。
でも、それと同時に眼鏡を外そうと狙ってくる危険な人物でもある。

でもでも、それよりもっと危険人物なのがこの山本武くんだ…。
私は極力目を合わせずに、下を向いたままぽそぽそと謝る。

だが、体の震えは止まらない。
どこかで、どこかで彼がこの状況を見ていようものなら…。
そう考えると、怖くて仕方ないのだ。

恐怖から叫びだしそうになった、そんな時。


キーンコーンカーンコーン…


「お、じゃーなー!また後で、華鈴!」

「………。」


チャイムが鳴り、やっと自分の席へと戻っていく山本くんを見て、ホッと胸をなでおろす。

でも、彼は言った…、また後で、と。

ということは、授業の合間の休憩時間も、いつものように話しかけに来るつもりなのだろう。


「(ああもう…!どうしてほっておいてくれないの!?)」


机に突っ伏し、私は頭を抱えた。

思考を埋めるのは恐怖と不安だ。

ああ、長いながい一日が始まる。





1page 平穏の為のルール



(ああ、どうか神様…、私に平和を、平穏を…!)


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