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ガウンッ!ガウンッ!ガウンッ!
私の愛銃が高らかに鳴く、獲物を目掛けて、弾が一直線に彼に駆けて行く。
「チッ、飛び道具なんて卑怯じゃねぇか…?」
「海賊の貴方が何を言っているのかしら?」
長い刀で私の球の軌道をそらすロー。
…見ない間に、戦い方も上手くなった。
「やめてよぅ、ユイ!」
もう一発撃ち込もうとしたときだった、私の腕を大きくてふわふわとした何かが掴む。
…ベポ、この子も随分と大きくなった。
拾ってきた時は、もっと小さかったのに…。
「…邪魔よ」
けれど今は構っていられない、蹴りを入れ後ろへと飛ばし、ローに向かって球を打ち込む。
ガウンッ!ガウンッ!
「っユイ!テメェ…!」
私がベポを蹴り飛ばしたことが信じられないのだろう、ローは私をスゴい形相で睨む。
…一応手加減はしたわ、現にもう起き上がっているし。
私はツキンと痛む心を押さえながら、ローを冷たく見下ろした。
「アナタが私を誰と重ねているのか知らないけれど…、良いのかしら?」
ガウンッ!
ローの耳を掠め、アリーシャを背後から襲おうとしていた男を撃ち抜く。
…ほら、ロー。
早く私を倒さないと、
「アナタがとろ臭いから、アナタのクルーはどんどん死んでいくわよ…?」
「テメェ…っ!」
ローの瞳に、怒りが灯る。
…そう、それでいい。
今のままの貴方じゃ、この先を乗り越えていくのは不可能よ。
「ほら、早く私を倒さないと…」
ガウンッガウンッ!ガウンッ!
回りにいたローのクルーを、次々と撃ち抜く。
私は海軍、私は私の、今の任務をやり遂げなければならない。
…私の為に、そして、
「覚悟は出来てんだろうな…、ユイっ!」
…ロー、貴方のために。
「ふっ、望むところよ…!」
私とローの、殺しあいが始まる。
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