黒猫さんの物語。 | ナノ


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「オラアァッ!」

「っ!?」



ドゴッ!


鈍い音とともに、俺の視界からユイが消えた。

横を見れば息を切らしたペンギンが立っていて、拳が少し赤くなっていた。

…ユイを、殴ったんだ。



「ペンギン、お前…」

「何してんだロー!?
 何ボケッとやられっぱなしになってんだよ!?」



俺の胸ぐらを掴み、今までに無いくらい怒りを露にしたペンギンが俺を睨む。



「アンタはキャプテンだろ…、アンタがハートの一味率いてんだろ!?」

「じゃあテメェはユイを殺せるってのかよ!?」



俺の反論に対し、ペンギンは一瞬目を見開いた。

そして殴り飛ばしたユイを見て、決心したように言った。



「…アンタや仲間の為なら、俺は例えユイだろうと戦う。」

「テメェ…っ!」



ペンギンの答えに俺は腸が煮えくり返りそうになった。

何でだよ、ユイは俺や、お前にとっても大切な存在だったじゃねぇかよ…!



「ロー、アンタはユイに依存しすぎだ…。
 少しは頭冷やせ、今のままじゃとてもグランドラインにゃ行けやしねぇぞ。」

「黙れ…、俺に指図すんな…っ!」

「っアンタを信じて着いてきた奴等が、こんなになってまでまだユイを殺せねぇって言うのかよ!?」



ペンギンの言葉に、はっと我に返る。

回りには倒れている俺のクルー、中にはユイの弾を受けて倒れてるやつも少なくない。



「…悪ぃ、ペンギン、俺は、」

「…いや、相手が相手だ、俺も最初は我が目を疑ったさ。
 出るのが遅くなって、悪かった。」



俺の肩を叩くペンギンを見れば、苦しそうに顔を歪めてて…

…ああ、コイツも辛いんだと、解った。



「…覚悟、決めるぞ」

「ああ、キャプテン。」



ユイに向き直った時だった



「甘いわね、アンタたち二人とも…」



ガウンッ!ガウンッ!


高らかに、ユイの銃が唸りをあげた。

襲いかかる眠気に、意識が沈む。

…最後に、泣きそうなユイの顔が見えた。





涙を流すなんて許されない。





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