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ダンッ!
ローをデッキに叩きつけ、銃口を突き付ける。
互いに体力を消耗しきった、このトリガーを引けばすべて終わる。
…けど、まだだ。
まだ、一人足りない。
「死の外科医も、大したこと無かったわね…。」
「っは、よく言うぜ…、かなり手こずってやがったくせに…」
そりゃ手こずりもするだろう。
今回の目的は海賊を排除することではなく、一人たりとも殺さずに生け捕りにすることだ。
甘ったれたローの背中を、押すためにも…。
…そんなこと、口が裂けても言えないけれど、ね。
「終わりよ、トラファルガー・ロー…」
それより、まだなのか…?
あの子がこの騒ぎに気づいていないはずがない…、なら…?
思考を巡らしていると、今にも泣き出しそうな瞳が映る。
「…なあユイ、ホントに忘れちまったのかよ?」
「…何の事かしら?」
眉をしかめ、震える指を押さえ込む。
掠れた声が、耳に響く。
「なあ、ユイ…、俺を忘れたのかよ…っ!」
「っ…。」
今にも泣き出しそうな顔をして、私を睨むロー。
「なあ、ユイ…っ!」
私は下唇を噛み締め、銃口を強く突き付ける、そして…
「…さよなら、ロー」
私はトリガーを引いた。
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