黒猫さんの物語。 | ナノ


  3/4


 


ダンッ!


ローをデッキに叩きつけ、銃口を突き付ける。

互いに体力を消耗しきった、このトリガーを引けばすべて終わる。

…けど、まだだ。

まだ、一人足りない。



「死の外科医も、大したこと無かったわね…。」

「っは、よく言うぜ…、かなり手こずってやがったくせに…」



そりゃ手こずりもするだろう。

今回の目的は海賊を排除することではなく、一人たりとも殺さずに生け捕りにすることだ。

甘ったれたローの背中を、押すためにも…。

…そんなこと、口が裂けても言えないけれど、ね。



「終わりよ、トラファルガー・ロー…」



それより、まだなのか…?

あの子がこの騒ぎに気づいていないはずがない…、なら…?

思考を巡らしていると、今にも泣き出しそうな瞳が映る。



「…なあユイ、ホントに忘れちまったのかよ?」

「…何の事かしら?」



眉をしかめ、震える指を押さえ込む。

掠れた声が、耳に響く。



「なあ、ユイ…、俺を忘れたのかよ…っ!」

「っ…。」



今にも泣き出しそうな顔をして、私を睨むロー。



「なあ、ユイ…っ!」



私は下唇を噛み締め、銃口を強く突き付ける、そして…



「…さよなら、ロー」



私はトリガーを引いた。




prev / next

[ back to top ]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -