「やった!千鶴!私たち一緒のクラスっ!」 「ほんとだっ!」 「なぁ、俺も一緒なんですけどぉ…。」 入学式が終わり、今はクラス分け。 唯と千鶴が一緒のクラスであること手を取り合い喜んでいると、存在を忘れられていた平助がブツブツと文句を垂れながら割り込む。 そんな平助を唯が頭をグシャグシャと撫で混ぜると、平助はそれはそれで嫌だと怒り始めた。 「にしても唯があの風間と従兄弟だっとはなぁ…」 「ね、偶然だとは思えないくらい…。」 ヒソヒソと千鶴と平助が話していると、唯は顔を歪めて千鶴を抱き上げた。 「きゃあっ!?」 「なぁに二人でヒソヒソ喋ってんのよ! 平助!千鶴は渡さんッ!」 「ちょ!?待てよ唯!」 唯は千鶴を抱き上げたまま自分のクラスへと走っていった。 平助も負けじと追いかけるが、あと一歩で唯に追い付けないのは、やはりコンパスの違いだろう。 「おーほほほほほ! やーいチビ助!悔しかったら追い付いてみやがれっての!」 「コンニャロォォォォ!」 余裕綽々で階段を駆け上がっていく唯に、軽く汗をかきながら階段を全力で駆け上がる平助。 階段を上りきり、廊下に差し掛かったときだった。 「唯ちゃんっ!前!前ぇぇぇぇぇ!」 「あ。」 「うおおっ!?」 「ぐへぇっ!?」 唯は赤い髪の男の人に正面からぶつかりかけた所を、瞬時に千鶴を庇い背中からツッコミ、こちらに突っ込んで来そうになっていた平助を足で止めた。 「ふー…、ギリギリセーフ…」 「セーフじゃねぇよ!アウトだよっ!」 「っぶねぇな…、何してんだお前ら…」 「す、すみません原田さん…」 赤い髪の男の名は原田左ノ介、薄桜学園の英語教師だ。 「おっ?なぁんだ唯か!相変わらず危なっかしいことしてやがんなぁ?」 「は、原田さんっ!唯ちゃんは…っ!」 千鶴の制止の声より原田の手の方が先だったようで、原田は昔のように唯の額にキスを落とした…ら、 「っにしやがんだこの変態やろうがあぁぁぁぁっ!?」 「え!?ちょ、落ち着け唯…ぐはぁっっ!」 原田は見事に唯の千鶴を落とさないようにした蹴りを食らったのだった…。 [prev|next] |