「まさか唯ちゃんが沖田さんたちと幼馴染みだったなんて…。」

「幼稚園の頃からの付き合いでさ、中学に上がるときに従兄弟が無理矢理私を留学させて暫くあってなかったんだぁー。」



ケタケタと笑う唯を見ながら優しく微笑む千鶴。

今は入学式、唯たちは体育館にて式の真っ最中だった。



「唯ちゃんの従兄弟って?」

「ん?
 …まあ、その内わかるよ。」


唯は一瞬顔をひきつらせ、前に向き直る。

千鶴は頭に?を浮かべながらも次の生徒会長の挨拶に備えた。

なるべく背を低くして前の唯に隠れるようにしようとしたのだが…。



「…何で唯ちゃん背を低くしてるの?」

「…まあ、イロイロと事情がありマシテ。」



二人して背を縮めていると、生徒会長がステージへとあがる。

そう、真っ白な学ランに身を包んだ金髪が…。



「よく来た諸君、入学おめでとう。春の陽気は暖かくて…ちっ、こんなもの読んでられるか。」



ステージに上がった生徒会長らしき者は持っていた紙をビリビリと引き裂きマイクを掴んだ。



「うわぁ…、風間さんらしいなぁ…」

「うわぁ…、千景らしいなぁ…」



唯、千鶴の声が見事に重なる。

二人が顔を見合わすと、ステージの方から生徒会長である風間千景から声がかかった。



「よく来たな、我が妻になるべき者たちよ…。
 さあ、唯!この俺のもとへ飛び込んでこ「入学早々何やらかしてやがんだバ風間あぁぁぁぁぁっ!」」



ビュンッ!

ゴィンッッ!


反射であろう、唯は風間に持っていた竹刀を投げつけた。

それが見事に風間の額に直撃し風間はそのまま意識を失った…。



「…唯ちゃんの従兄弟って、まさか、」

「あのキンキラキンだよ…、ったく恥ずかしいったらありゃしない。」



唯はまるで汚いものを見下すような目付きで風間を睨んでいた。



「は、はは、すごい偶然…。」



はてさて、それは偶然か、はたまた必然か…?







それは偶然か、必然か。






(はぁ…、目立っちまった。)(唯ちゃんやっぱり変わってないなぁ…。)



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