第4話〜絶望〜
久しぶりに、深い眠りについている気がする。
いつもは夢を見るのが怖くて、なかなか眠れないから。
心地よい微睡みの中、目を開けようにも気だるさに負けて眠り続ける。
自分は今眠っていて夢と現実の狭間にいるのだと、実感するのは少し変な気分だ。
けれど、夢だというなら先程のことも全て説明がつく。
とても、とても最悪な夢だった。
森を探検していたら、見知らぬ海の見える崖っぷちに立たされていた。
足元が崩れ、海へ落ちたかと思えば、青く燃え上がる翼の鳥に捕えられ、男達だらけの船へと落とされた…。
絶望でしかなかった、ありとあらゆるトラウマが瞬時に蘇り、子供のように泣きじゃくるしかできなかった。
…もう居ない、母に助けを求めるなんて、恥ずかしかったなぁ。
ふわふわと心地いい夢の中を泳ぎながら、母を思い出す。
夢の中は何をしていても自由だ、今はもう顔も忘れてしまった母だけど、抱きしめてもらっていた記憶だけは今も残っている。
ああ、今もほら、優しく私を包んでくれている。
「…お、かあさ、」
白くぼやけたその姿に、手を伸ばそうとした時だった。
意識は急上昇し、夢が覚めていくのがわかる。
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