追記


5.最初から分かってたんだ二人一緒に終わるしかない



彼は眠る様に玉座に座っていた。
その胸に刺さりそびえる剣が無ければ、そう見えるほど穏やかな表情をしていた。

マサルは彼の足元に跪き、とうに冷たくなったその手を握った。
そして見上げながら、笑う。

「待たせたな」

一度は世界に抵抗もしたけど、結局は叶わなかった。
なら最初からこうすべきだったんだ。
本当は分かっていた。
二人して生きられないのなら。
二人して終わるしかないって事を。

ヤツの終わりは俺がもたらした。
ふるえて上手く持てない武器を胸に突き刺した。

「すぐに、いく」

だから待っててくれ。
そう言うとアイツはにっこりと嬉しそうに笑った。
瞳に光が無くなり、身体が冷たくかたくなるまでここに居た。それから別れを告げに一度戻り、やっと帰ってきたんだ。
帰る、だなんて変かもしれない。
でも俺の戻るべき場所はお前の側なんだ。

俺は跪いたままヤツの胸に刺さる剣を抜き、今度は自らの身体に切っ先を向ける。
怖くはなかった。
お前と離れる事に比べたら。
熱い感覚が続いて、だんだん何も感じなくなって、次第に暗く、その感覚さえも終わっていく。

救世主だった彼の力が抜け、膝は折れて魔王が膝に頭を預ける形でその命は果てた。
その姿は互いが寄り添う様だった。

世界には鐘が鳴り響いた。
魔王の消滅に歓喜していた世界に、それは隅々まで渡り鳴った。
喜びの鐘と違い、まるで哀悼の様な響きだった。一体何に憂いているのか人々が理解することはなかったけれど、世界は、たったの二人の愛を悼んだ。

次は、幸せになりますように。

二人が消えた時刻に、また今日も鐘が鳴った。




なんとかでけたー\(^o^)/
うっかり消してやる気を無くしてからサルベージに半年かかった(爆)けど、なんとかでけた。
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