破壊と創造、構築

2010/12/02 21:46


野暮用のために、海沿いをひた走る電車に揺られて地元へ。風になびくすすきを眺めるときに感じる気持ちは、ノスタルジーなのか、何なのか。

私がいちばん好きな中華そばをいただいたり、予定していた古着屋が定休日であったり、黒猫に横切られてしまったり。変わったもの、変わらぬもの、いまと過去の波がぶつかり合って生まれた衝撃と気泡とが引いていく、まさにそこで二時間を過ごしていた。見えそうで見えない、私は波に飲まれながらもその隙間からちらりちらりのぞく景色のなかをふらふらしていた。



89年の冬に私が生まれた総合病院は私が十になる前に移転して、そのだだっぴろい跡地は長らく手つかずのままにあった。何やら行政施設を建てるという話はかねてより耳にしていたのだけれど、どうもこれが随分と立派な建築物のようで、たまたまそこを通った際に、組まれた鉄骨の緻密さや青空に伸びるクレーンの非現実さに、工場やコンビナートの写真に見入るときの興奮が沸き起こってしまった。



逆光も相俟って、すごくすごく格好良いものが撮れたと思う。ここで私が生まれたなんてね、信じられない。



駅ビルの小さな本屋で購入した、東海林さだお先生(この方は「先生」と付けたくなってしまう!)と椎名誠氏との対談に熱中してしまって、行きも帰りも車内ではずっと俯いていたのだけれども、これがいけなかったらしい。久しぶりに乗り物酔いをしてしまい、街に戻ってくる頃にはすこぶる気分が悪かった。幼少期から欠かさず服用していた酔い止めを忘れていたのもいけない。乗車中の読書すらままならぬ私であった。





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