「ついにこの日が来てしまった…!」



氷帝の校舎を目の前にしてそう呟く私。

…楽しみ過ぎて早めに登校しちゃったよ!



「と、とりあえず氷帝写メっとこうかな!?」



こっちの世界に来て新しく買ったケータイを片手に私は写メる体勢を…って。



「変質者か私は…」







とりあえず私は学園内を探索することにした。

外から見るより遥かに高級感が漂ってみえる。

さすが私立学園だなぁ、と改めて思う。

しばらく歩いていると、テニプリのアニメなどでよく聞いたパコーン パコーンという規則正しい音が聞こえてきた。

ま、まさかのまさか…!

あまりのことに思わず走り出してしまった私がみたものは―



「あでっ!」



…地面でした。

チクショー何だよ!私の足を引っ掛けたのは!おかげで勢いよく転んじゃったじゃないのさ!

キッと私を転ばせたそれをみようとしたら、



「いったぁ…もー、なにー?」



聞いたことがある声色。

あ、芥川慈郎ちゃんだ!私、寝転んでるジロちゃんに躓いて転んだの!?

躓いたってことはジロちゃんのこと蹴ったのと同じようなことだよね!?

うわあ悪いことしちゃった…どどどどどうしよう…可愛いジロちゃんに傷が付いちゃう…っ!

ま、まずは謝罪を…っ!



「ご、ごごごめんなさい!大丈夫ですか!?」



背中とか痛くないですか…っ?



「んーだいじょぶだいじょぶー…ところできみ、だれー?」



上半身だけ起き上がってそう問うてくるジロちゃん。

可愛い過ぎる…!小首なんか傾げちゃって、もう本当に可愛いよジロちゃんー!

叫びだしそうな自分を必死に抑えながらジロちゃんの問いに答える。

…若干どもるのは仕方ない。



「わ、私は、苗字名前って言います。今日から、えと、3年生に転入するんです!」



私は緊張しながらも今できる精一杯の笑顔を向けた。

第一印象は大事、だよね!



「!…カワE!名前ちゃんて言うんだー?名前もカワEねー!転入したの?何組何組?」



ま、マシンガントーク…?

たくさん私に喋りかけてくるジロちゃん。

…起きたのかな?ってその前に!私のことをちゃん付けで呼んでくれたよ!?嬉し過ぎる…夢みたいだ…っ!

私がそんなことを思っていると、ジロちゃんはいきなり立ち上がった。



「ごめん俺、部活終わったっぽいから行かなきゃ!俺の名前は芥川慈郎。覚えといてね、名前ちゃん?」



私にそう言って笑顔を向けて去っていったジロちゃん。

…まるで太陽のような眩しい笑顔…!

我慢できなくなった私は小さく呟いた。



「萌え…っ!」





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