「跡部さん達を、呼んできます」
部室の入口につくと樺地くんはそう言って走って行った。
中に入っても良いかな…ここにいると目立ちそうだし…。
「跡部さん」
樺地が跡部を探しにコートへ向かうと、レギュラーがちょうど集まっていた。
「樺地か。どうだった」
「名前、どうだった?」
「樺地が行ってきたんだねー」
「なんて言って断られたんや?」
「引き受けてくれるそうです」
「ちぇ。やっぱダメか。次はどーすん…………………………え?」
「か、樺地…今、なんて…?」
「苗字さんは、マネージャーを引き受けてくれる、そうです」
その言葉を聞いたレギュラーたちは目を丸くして驚いた。
「今どこにいる?!」
「部室です」
レギュラーたちは自慢の足をフルにつかって部室へと向かった。
バンッ
芥川が勢いよく部室の扉を開けた。
「ぅっわ!」
驚いたー…。
ドア壊れちゃうよ。
そう思いながらみんなに顔を向ければ、なんだか凄い驚いた顔で凝視されていた。
「…どうしました…?」
「引き受けるのか?」
「はい」
「俺ちょーウレC!!」
「おっ、俺も嬉しい!!」
ジローくんとがっくんが走り寄ってくる。
おぉ…母親気分…。
「でも、なんで急に引き受けようと思ったんだ?」
「そうだ。この俺様の誘いも断ったんだ。理由を聞かせてもらおうか」
宍戸と跡部が私に疑問を投げかける。
レギュラー全員が私を見ていた。
「あ、今まで逃げ回って断ってばかりでごめんね」
「名前チャンの言い分も分かるし、しゃーないと思うで」
「うん。そう思ってたんだけど…。みんながマネージャーに誘ってくれるから、こんな私でも必要とされてるならと思って、引き受けることにしました。」
「名前ちゃんだから、マネージャーやってほしいんだC〜!」
「お、俺も!名前に、やってもらいてぇんだ!」
そう言ってジローとがっくんが私の手を握ってくれた。
これぞまさに両手に花…。
あ!和んでる場合じゃないか。
「あの…跡部?」
「なんだ」
「私、どうすればいい?マネージャーの仕事分かんないんだけど…」
「あぁ、それは明日俺様が直々に教えてやるよ」
「あかんあかん!跡部やなくって俺が教えたるわ」
「ってことは明日からマネージャーってことですね?」
「そうだ」
「じゃぁ私帰りますね。みんな部活でしょうし」
「マイペースだな…」
「えー!名前ちゃん帰っちゃうの?!」
「ぶ、部活見ていったらどうです?」
「鳳良いこと言うじゃん!そうだぜ、見てけって!」
「や、邪魔になるから帰るよ!」
「名前ちゃんに俺のかっけーとこ見せてあげる!」
「俺様の美技に酔わせてやるぜ、あーん?」
「(生で名言聞いちゃった…!)」
「俺のムーンサルトも見せてやる!」
「スカッドサーブも見てってください…!」
「(ぉぉぉ鳳くんの涙目攻撃…?!)あああ明日までとっとくよ!ご、ごめん帰る!またね!」
これじゃお家で待ってるリオを余計に待たせることになると思って部室を飛び出した。
鳳くんの技に負けそうだった…!
「よく逃げるやつだな…」
翌日の朝。
私は緊張しながら学校へと向かった。
心にテニス部のマネージャーやることにしたと伝えるから。
サッカー部のマネージャーのお誘いを断ったのに………あばばば…。
「名前!おはよー!」
「心?!お、おはよう」
私の後ろを歩いてたらしく、首に抱きつかれた。
「心さん……お、お話がありまして」
「そんな深刻な顔して、どうしたの?」
「あのね、テニス部のマネージャー、引き受けたの。ごめん!心のお誘い断ったのに…」
「引き受けたの?!」
「うん…ごめん!」
「あんだけ粘られたらしょうがないよ。サッカー部のマネに誘ったのは悪い虫がつかないようにしておきたかったってゆう私のエゴだしさ」
「心…」
「何か困ったらマネの先輩である私に頼りなさいよね!名前、可愛いから…セクハラされたら教えて」
その部員ぶっ潰しに行くから!
心はそう言って笑ってくれた。
「初めまして。今日からマネージャーを務めさせてもらうことになりました。3年の苗字です。よろしくお願いします!」
「この子は俺のだから手出さないでねー!」
「今のはジローの他愛もない寝言だ。いいか、苗字は俺様のオモチャだ。覚えておけ」
「何言ってるんですか跡部さん!」
「黙っとけ長太郎。激ダサな奴らの戯言だ」
「岳人も何かゆっとかんと誰かに名前チャン取られてまうで?」
「っ!うっせー!あほあほ侑士!」
私の隣でみんな笑ってる。
これが夢にまでみた、私の、憧れ。
end
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