衝撃的な出会いに動揺して思わず早歩きになり、いつのまにか学校についた。

思ってた通り、教室には誰もいない。

1人だと思うとなんだか気が抜ける。

あぁ…今日は朝から心臓に悪い体験しちゃった…。(いや、良い意味でだけどね!…多分!)

こけたとき、あの忍足に声をかけられた。

その上、荷物を拾うのを手伝ってくれた。

ありえないこと体験しちゃった…っ!

そういえば、街へ行ったときに彼女を連れた忍足を見て以来だ。



「案外…紳士だったなぁ…」

「誰が?」



また私の独り言に返事が返ってくる。



「っでぇ?!」

「ぬゎ!なんだよその驚き方!」

「が、がっくんか…」



そこにはテニスバックを担ぐ向日岳人くんがいた。

あれ、今の時間って朝練の時間じゃないの…?



「がっくん…もしかして、サボり?!」

「(がっくんて…)違ぇよ!なんか分かんねーけどいきなりミーティングすることになって、朝練ナシ」

「そうなんだ。毎日こんな早くから大変だね」

「もう慣れちまったよ。名前は何してんだよ。いつもよりかなり早くねぇ?」

「うん!今日は早く起きちゃったからね。来た!」

「(来た!ってなんだよ…可愛いなぁ)…って名前!足から血、出てっぞ?!」

「うそー……わ、ほんとだ!!」

「何してたんだよ…」



気付かなかったけど、きっとこけたときにすりむいちゃたんだ。

傷を自覚したらだんだん痛くなってきた気がする。



「保健室行こうぜ」

「連れてってくれるの?」

「当たり前だろ!歩けるか?」

「うん。ありがとう、岳人くん」

「おう…」



向日岳人くん、すごく優しいです…!





「失礼しまーす」

「誰もいないの…?」

「多分。しゃーねぇ。俺が手当してやるから、どっかイス座って」

「ぇえ?!そっ、そんな大丈夫っすよ!お気遣いなく!」

「(なんかキャラおかしいぞ)ぃ、いーから!座れって!」



と、肩を押されてイスに座らされた。

そして消毒液や絆創膏を色んな場所にある棚から取り出す岳人くん。

部活とかでケガするから熟知してるのかも…これは黙って手当してもらった方が良いな。



「名前は保健室初めてだろ。だから…」

「そうだよね。ごめんね、ありがとう岳人くん」

「気にすんなっ」



喋ってる間に手当が終わった。



「はい、おーわり!」

「ぁ、ありがとう!」



手際良いなぁ…!





保健室を出て教室へ向かった。

さっきより生徒が増えた気がする!



「なんでケガしてたんだよ?」

「それが、ちょっと…お恥ずかしいお話なんですが…」

「なんだよ。そういわれると気になるじゃん!教えろよー!」

「岳人やん」

「ん?お、侑士!」



聞こえた関西弁。

岳人くんの「ユウシ」発言。

この公式に当てはめると答えは



「(2度目の忍足侑士ー!!)」

「さっきの子やんか」

「っは?!え?!何?!名前と侑士って知り合い?!「さっき」って何?!」

「何焦っとんのや岳人…さっき通学路でな、その子が荷物ばらまいてこけとったんや」

「それで、そちらの方が私の荷物を拾うのを手伝ってくれた…のですよ」

「せや」

「だから足にケガしてたのか」

「そうそう」

「ふーん、そっか。じゃぁ行こうぜ、名前。じゃぁな侑士!」



岳人くんが私の手を掴む。

と、



「ちょぉ待ち」

「、わ」



忍足は岳人くんが掴む私の手と反対の手をいきなり引いた。

そのせいで忍足の方へよろけてしまった。

はっ…!

こ、これは「わがままな年子の子どもに振り回される母親」の図…!



「な、んだよ侑士」

「いや?まだ自己紹介しとらんなぁと思て」

「はぁ?」

「3年の忍足侑士いいます。岳人とはテニス部でダブルス組んでます。よろしゅう」

「ぇ、と、苗字名前です…岳人くんと同じクラスです。よろしくお願いします」

「ほぉ…かわええ子やなぁ岳人?」

「は?!な、え?!…はぁ!?何言ってんだよ侑士!」

「(過剰な反応…まぁ想像はつくけど)岳人はそう思わんの?」

「あの、ちょっと!止めて下さいよ忍足さん!岳人くんが可哀相じゃないですか!」

「名前!俺はそうゆう意味じゃなくて 「大丈夫だからがっくん!ね!」

「俺は本気でそう思とるで?」

「お世辞も結構ですよ!けど、ありがとうございます」



笑ろた顔がかわええ、そのインパクトが強かった。

朝はなんや俺にビビっとたみたいやったけど。



「もういいだろ!名前、行こうぜ!」

「あ、うん。忍足くんさようなら!」



苗字さんは岳人に手を引かれて行った。



「岳人は間違いなく苗字さんが好きやな。おもろいことになりそうや…」



個人的に、苗字さんも気になるし?





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