リョーマはここで何してたんだろ。

やっぱり自主練かな。

けど意外と散歩だったりして…あ、ラケットあるや。

悶々としているとリョーマが私の視線の先のものを見て一言。



「テニス、したいの?」

「へ?!」

「ラケット見てたし」

「(バレてらぁぁあ!)」

「俺のラケット使っていいよ。その間、休憩してるし」

「…じゃぁ…お言葉に甘えさせていただきます…!」



と言ってからラケットとボールを受け取る。

わ、私っリョーマのラケット触っちゃったぁぁぁぁ!

赤色だぁぁ!

…、変態ちっくに騒いでないで早く壁打ち始めよう…。





中々難しいもので、ボールが四方八方に飛んでいく。

ボールが壁に当たる場所もまちまちだ。

コンテナで壁打ちしてた大石とか円柱で壁打ちしてた緑山中の人達ってやっぱりすごいんだな…!



「もっと脇しめれば良いんじゃない?」

「?」

「脇しめて腕振ってみたら?」

「っはい!」



ベンチに座ってたはずのリョーマがいつのまにか私のすぐ近くまで来ていて、アドバイスしてくれた。

桜乃ちゃんと似たようなアドバイスを貰ったとゆうことは、私、桜乃ちゃんと同じようなことになってるんだ。

漫画で見てたときは「桜乃ちゃんらしいなぁ」とか思ってたけど、そうじゃないんだね!

朋香ちゃんはちゃんと打ち返してたし、すごいなぁ…羨ましい運動神経。



「ど、どうですか…!」

「様になってるんじゃない?」

「ほんとですか!ありがとうございますー!」



けど力尽きた私は地に膝をついた。

リオとの追いかけっことアドバイスを貰う前のボールとの追いかけっこのせいで私の運動バロメーターがレッドゾーン…あぁ、情けない。

とりあえず借りていたラケットとボールをリョーマに返した。

リョーマは「ん、」と言って受け取った。

いちいち可愛い子でどうしよう!



「あ」

「(ん、なんだ?)」

「アンタの名前なんてゆうの?」

「ぁ、申し遅れました。氷帝3年の苗字です!」

「(先輩だったんだ…)下の名前は?」

「え、名前です、けど」

「青学1年、越前リョーマ。よろしく、名前先輩」

「(ぎゃっ!名前+先輩呼び!?)よっ、よろしく、おねがいします…!!」

「別に敬語じゃなくて良いじゃん。俺の方が後輩なんだし」

「けどえち、越前くんとはち、違う学校だし…?」

「俺が良いって言ってるんだからいいでしょ。敬語禁止。ついでに「越前くん」禁止」

「(年下に主導権握られてるぞ私)わ、分かった!」

「あと、名前先輩のアドレス教えてくんない?」

「っえぇぇぇぇぇぇぇ!?」

「っ、そんな驚くこと?………嫌なの?」

「いえっそんな滅相もない!リョーマくんこそ嫌じゃない?!」

「俺が聞いてるんだから嫌なわけないじゃん」

「…そうですか…」



緊張してケータイを取りだす手が震える。

見て分かるくらいの震えでリョーマに笑われてしまった。(バカにされてるんだろうけどすごく萌える!)

私からリョーマに赤外線を送ると、リョーマはケータイをいじり始める。

少し経つとサブディスプレイに知らないアドレスが表示された。



「俺のアドレスとか送ったから」

「あ、りがとう…」

「ちゃんと「リョーマ」って登録しといてよね」

「了解でございます…!」



登録しなきゃ、と思ってディスプレイを見るともう3時だった。

大変、夕飯の買い出し行かなくちゃ!(しかも今日はお肉の特売日!)



「ごめんリョーマくん!私スーパー行かなきゃだから帰るね!」

「え、ちょっと、」



リョーマの言葉を最後まで聞かずに階段の方へ走った。

「リオ!」と名前を呼ぶと1人で静かにベンチでまるまっていたリオが走り寄ってくれた。

私がテニスをしている間ずっとじっとしていてくれたリオ。

本当に良い子ちゃんだ…!





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