「心ー!」



部活の休憩時間。

ドリンクとタオルを部員に配り終えた私は名前と別れた場所で帰りを待っていた。

私も用事があったのに、芥川の乱入のせいで伝えられらなかったし。

そうして待っていると名前が小走りで帰って来た。

ん、かわいい。



「さっきはごめんね心!」

「大丈夫よ。それに名前は悪くないんだから謝る必要はないでしょ?」

「う、うん」

「悪いのは芥川。いきなり連れ出して…てゆうか芥川と知り合いだったの?」

「うん。始業式の日にね、知り合ったの」

「ふぅん。どうゆう経緯で?」



と、心が聞くので私とジローの出会い話をしてみると彼女は笑って言った。



「なんだか…2人らしい出会い方ね?」

「そうかなー?」

「うん。マイペースな名前とサボリ魔の芥川!」



2人でそんな話をしていると「休憩終了ー!」とゆう声が響く。



「あーあ。始まっちゃった」

「頑張ってね、マネージャーさん!」

「ありがと。じゃぁ…って、危ない。忘れるところだった」

「ん?」

「見学に飽きたら好きな時間に帰って良いからね?私に声かけなくても良いしさ」

「分かった!」

「もう、これさっき伝えようと思ったのに芥川が名前を連れ出すから…」



愚痴りながらグラウンドへ戻っていく心を見送って、私は一人で見学を始めた。





空が紅くなってきた。

そろそろ帰ろうかと思って心の方を見てみると忙しそうに動き回っていた。

邪魔したくないし、声かけるのはやめてこのまま帰ろう。





「どうしようかな…」



と、心の誘いをどう断ろうかと考えながら帰っていると何かの音が耳に入った。



「…に…ぁ〜…」

「…何か、聞こえる…」

「…にゃ〜…」

「…猫?」



辺りを見回してみると4・5本先の電信柱の脇に箱が置いてあるのが見えた。

もしかしてと思ってそれに近寄ってみる。



「捨て猫だ…」



思った通りの結果で、それに張ってある紙に「拾ってください」と書いてあった。

箱の中には小さくて黒い毛並みの子猫が1匹と、ミルクの入った器と薄い毛布が一緒に入っていた。

こんなに配慮ができるなら捨てないでほしいよ…。



「どうしよう…」

「あの…どうかしたんですか?」



しゃがんでその猫を見つめていると声がかかった。

ぱっと顔をあげるとそこにはテニスバックをかつぐ一人の男の子。

し、知ってるよ私この人知ってるよ…!お、鳳長太郎…!





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