俺のクラスに転入生が来た。


教壇の上に立ち、緊張した面持ちで自己紹介をした女子生徒。

名前は苗字名前らしい。

俺から見れば容姿は並。

顔も体型も普通だし、本当にどこにでも居そうな奴なのに、自己紹介した後の彼女の笑顔がとびきり可愛いかった。

その顔が脳裏に焼きついて離れない。



「質問したい人は休み時間にね。えっと席は…窓側の1番後ろ!あ、苗字さんの隣の子は今日欠席なのよ。また出てきたときにでも挨拶してちょうだい」

「はい」



そう言って先生は教室を出て行った。

やったラッキー!窓側の1番後ろなんて1番良いところじゃん。

けどがっくんとは結構遠いなぁ…。

そう思いながら席へ着いた。

すると、私の前に座っている女の子が振り向いた。



「初めまして!私、秋野心ってゆうの。もし良かったら友達になりましょ?」



とても綺麗な笑顔、とゆうのが第一印象だった。



「うんっ!私のことは好きなように呼んでね!」

「それじゃ、名前って呼び捨てにさせてもらうね。私のことも好きなようにどうぞ?」

「じゃぁ私も心って呼んでも良い?」

「もちろん!よろしくね、名前」

「うん…!」



嬉しい!嬉しい!嬉しい!お友達が出来ちゃったよー…!

こっちの世界に来てはじめての女の子友達だ!

そう浮かれていると私を呼ぶ声がした。



「名前ちゃん名前ちゃん!」

「え、あ、はい!」

「私、山田洋子ってゆうの。仲良くしましょー!」

「アタシは遠山そのか。そのかって呼んで?」

「あ、えと、苗字名前です。好きなように呼んで下さい!よろしくおねがいします!」

「私はねー私はねー―」



私を囲む女の子達。

わー、私ってば今ハーレム状態?

すると心が一言。



「名前が困ってるから程々にしときなさいよー洋子達」

「え?あ、ごめん!いきなりでびっくりしたよね」

「また遊びくるねー!」



そう言って去っていく女の子達。

嵐のような、ってこうゆうことを言うのかな!



「あ、ありがとね心。ちょっとびっくりしちゃってて…」

「いいのよ」



そう言って微笑む心。

きれーい…。







今日は始業式だけらしいから、今日はもうこれでおしまいだ。



「私はこれから部活なんだけど、名前は?」

「んーっと帰るよ」

「そっか。気を付けて帰るんだよ」

「うん!心も部活頑張ってね!(何部なのかなぁ)」

「ありがと!じゃぁね」



心と下駄箱で分かれた後、私はあることを思いついた。



「テニス部見て行こう!」





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