君は気付いているのかな。





「不二!お誕生日おめでとう!」

「ありがとう、名前」

「あの、それでね、不二に謝ることが…」





その様子だと





「何?どうしたの?」

「誕生日プレゼント、用意できませんでした…!」





気付いていないようだね。








プレゼント








「ごめん、ごめんね…。プレゼント、何にしようってずっと悩んでたらもう昨日で…28日で…」

「うん」

「そのときもう夜で、お店閉まってる時間でね」

「うん」

「物がだめならケーキ作ろうと思ったんだけどね」

「うん」

「何回も、失敗しちゃって……スポンジが…」





そう言いながら名前はしゅん、と目を伏せた。

ほんと、名前って鈍感っていうか、鈍いっていうか…ばかだなぁ…。





「だから、プレゼント用意できなかった代わりに、不二がしてほしいなって思うことをやろうと思う!」

「…え?」

「たくさん言って!阿波踊りでも良いし盆踊りでも良いよ!」





なんでも踊っちゃおうよ!とさっきとは打って変わった表情でそう言った。

(なんで踊り限定なのかは突っ込まないでおくよ)(…本当に踊れるのかな)





「なんでもしてくれるの?」

「うん!私にできることならなんでも!」





…男に向かって「なんでもする」なんて無防備だと思うのは僕だけ?

心配しすぎなのかな。





「そうだな………どうしようかな」





これといってしてほしいことはないのに、名前は期待の眼差しを向けながら僕の言葉を待っている。

これは…答えるしかなさそうだね…。





「じゃぁ、肩もんでくれる?」

「ぇえー!それじゃただのお手伝いみたいじゃん!」

「文句言わない。僕がしてほしいことをするんでしょ?」

「そうだけど…肩もみじゃプレゼントらしくないよ…。プレゼント、用意できなかった私が悪いんだけどさ…」

「…ふふ」





ほんとに





「ばかだね、名前」

「なんで!(いきなりすぎるよ!)」





名前はばかと言われたことに勢いよく反応した。

そんなとこも可愛いよね。





「僕はプレゼントが欲しいわけじゃないんだよ」

「…………うん?」





分かってないなぁ…。





「僕はね、名前。君が傍にいて、おめでとうって言ってくれることが1番嬉しいんだ」

「だからそれが、僕にとってはプレゼント。それが納得いかないなら、そうだな…」

「次の誕生日も、名前からおめでとうって聞きたいな」





分かってくれた?

そう聞くと名前はまっすぐ僕を見ていたくせに視線をそらした。

恥ずかしくなっちゃったのかな。

ほんとに、かわいい。





「…じゃ、ぁ…次の誕生日も、私が祝う!1番最初に!」

「うん。絶対だよ」

「うん!」





君がそばにいてくれるなら、僕はなんにもいらないや。





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