まっしろ。
漠然とそう思ってから体が動かないことに気付いた。
重くて、感覚が鈍い。
ここはどこ。
なんでこんなとこにいるんだっけ。
………あぁ、あの廃墟でいたずらの首謀者と………。
「(名前は…)」
どのくらい僕は眠っていたんだ。
連絡がつかない、って名前が困ってそうだ。
いや、泣いてるかもしれない。
おろおろしてるのが目に浮かぶ。
周りを見回すと医療器具が並んでいた。
ここは病院か。
ふと横を見ると、僕のいるベットの端に肘をおいて、祈るように手を組んで下を向いている人がいた。
「名前?」
声をかけると名前は頭を勢いよくあげた。
「……っばか雲雀!な、んでっそんな普通に………っ!……………怖かったよ……っ」
名前の目は赤くて、目の下は黒かった。
「寝てないの?」
「寝れるわけないじゃんか!こんな………雲雀が……けがしてるのに…」
名前は涙を流した。
「……心配した……」
「うん」
僕のために泣いている。(かわいい、名前)
「すごいけが、だし………」
「うん」
僕のせいで泣いている。(いとしいよ、名前)
「いつ起きてくれるんだろうって……ずっと、ずっと待ってて……」
ごめんね。
「よかった……。ほんとに、よかった…」
名前はこんなに泣いているのに、僕を心配してくれてたことに喜んでる自分がいる。
多分自分は、彼女に心底惚れている
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