「える、える」

「なんですか、名前」

「あたしのこと、好き?」

「好きですよ。大好きですよ、名前」

「ほんと?」

「当たり前です」

「そっか。じゃぁ1つ言うこときいてくれる?」

「はい。なんでも叶えてさしあげます」

「じゃぁさ、Lのほんとの名前、教えてよ」

「もちろんいいですよ、名前の望みなら」





だめだよ、L。

もしあたしがノートを持ってたり、キラのスパイだったりしたらどうするの?(もちろんあたしはそんなのじゃないよ、もしもの話)

あたしを好いててくれるのは嬉しい。すごく嬉しい。

自惚れなんかじゃないくらいLがあたしを想っててくれてるのが分かるもん。(ありがとう。あたしも大好きだよ)

けどねL、そんなあたしに対してだって、警戒心を抱かなくちゃだめだよ。

ましてやこんなときに「名前教えて」なんて、オカシイでしょ?





「…ばか」

「名前は私が世間から何と呼ばれているのか知らないんですか?」

「そうゆう意味じゃないよばかL」

「2回も言わないで下さい」

「だってばかなんだもん!ばかばかばか!」

「…どうしました、名前」





あたしの頭を撫でてくれるLの手が優しい。あたしを捉えるその瞳が綺麗。あたしの名を呼ぶその声が大好き。

失くしたくないよ手放したくないよ。

あたしにはLを守る力も頭もないからこんなことしか言えないけど。(ごめんねL)





「そ、んな簡単に他人に名前、教えちゃだめだよ」

「けど名前になら良いと思いますが」

「もしあたしがキラだったり、キラと繋がってたりしたらどうするの!」

「それは有り得ません。名前は24時間ずっと私の隣にいるじゃないですか」

「そ、そうだけど…」





だめだ。言葉でLに勝てるわけがない。

それにあたしはキラのことやデスノートのことがよく分からないから尚更だ…。

あたしに何が出来るのかな。あたしに出来ることなんてあるのかな。

あたしはただキラからLを守りたいだけ。

けど守れるような力がないから、キラを倒す作戦にあたしを利用してほしい。

あたしは頭が全然良くないから難しいのはできないけど、体を使ったものなら出来ると思うから。

危険なものでも大丈夫。命に関わるものでも構わない。Lの役に立てるなら。

なのにLは「名前は私の傍に居ればそれでいいんです」なんて、納得のいく返事をくれない。

傍にいるだけじゃLの役に立てそうもないし、なにもできないよ…。





「…心配、してくれているんですか?」

「え?」

「私の身を按じてくれているんですか?」

「うん、当たり前だよ…」

「あぁ名前…私は本当に幸せ者です。愛しい名前に心配してもらうなんて」

「おおげさだよ…それにそれだけのことで幸せなんて…」

「安心して下さい、名前」





視線が交わる。

Lの大きい瞳にあたしの赤い顔が映ってる。(さらに恥ずかしよ…)

きっとあたしの目にはLの微笑んだ顔が映ってるんだろうな。

ずっとずっとこのままで、なんて無理なことは分かってる。

けどどうか、と願わずにはいられない幸せ。





「私がこの事件を解決してみせます。必ずキラを捕まえます。もちろん無傷で、です」

「L…」

「名前が安心してこの世界で暮らせるように」

「そのときはLも一緒じゃなきゃ嫌だからね」

「えぇ、もちろんです。名前の隣に私以外の男がいるのは嫌ですから」





あたしには何もできないかわりに、あなたが望むことをしてあげよう。

ずっと、傍にいるよ。





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