俺の恋は日々戦いだ。



「名前ー!!」

「やめて」



名前を叫びながら飛びつく俺に薄い反応で返事を返すこの人。

彼女は俺の片思いの相手、名前・苗字。

幾度となくアピールしてきたけど相手にされた試しがない。(かなり手強い)



「何、ラビ」

「用事がなきゃ名前に話しかけちゃダメなんか?」

「えぇ。あたし今急いでるの。だから用事がないなら腕、離してくれる?」



と、名前は自分の首にまわる俺の腕を指して言った。

俺の方を向いて話すから顔近いし、若干上目遣いだしで最高な状況さー!



「むーり。名前、抱き心地良いから無理さー」

「おかしなこと言わないで。早く腕どかして」

「イーヤさー」



抱きつく力を強めてみる。

…あー…こんなことしたら本気で離れたくなくなってきた。



「…何なの。ラビはあたしに嫌がらせしたいの?」

「そんなわけないさー。これは俺の愛情表現!」

「…人をからかいたいのなら他をあたって」



ちょっと怒ったような声で名前は俺の胸板を強く押す。

エクソシストなだけあって力が強い。

だから俺は必死で名前の首にしがみつく。(ちゃんと痛がらない程度にって配慮してるさ!)

そんな些細な戦いを2人でしていると



「あ、いた。名前!!」



リナリーが走って来た。

どうやら名前を探してたっぽい。



「リナリー!」

「名前、探したわ!兄さんが遅いって心配してたから私が探しに来ちゃった」

「ごめん、リナリー」

「名前が謝ることないの!悪いのは…っラビ!!」

「だ、だって名前がいたから…」

「つべこべ言わず離れる!」



と、俺はリナリーにビシッと指をさされ



「は、はいっ!」



と、キレよく離れた。

名前のことになるとリナリーはちょっと怖い。

リナリーと名前は仲良しで、大体いつも一緒にいる。

そんでリナリーが名前にすげー過保護。

だから俺が名前にちょっかいをかけるといつもこんな感じになる。

…もしかしたら俺のライバルってリナリーなんかな…?



「名前、任務なんか?」

「えぇ。明日出発だから資料を貰いに行こうとしてたのに、どなたかのお陰でそれがかなわないところだったわ」

「わ、悪かったさ…」

「行きましょう、名前。兄さんが待ってるわ」



リナリーが名前の手をひいて歩いて行く。

くっやしいさー…。

………今、リナリーが俺にわざわざ振り返って、薄く勝ち誇った笑みを浮かべたのは俺の見間違い?







2人の後ろ姿を見送ってから数時間後。

とりあえず名前に会いたい俺は名前探索を始めた。

名前はいろんな場所にいるから探すのに一苦労。

それに教団は広いから余計大変さー。





「お、発見!!」



名前探索に出て20分弱。

目的の彼女はすぐ見つかった。

俺、運が良いさ!



「名前ー!」

「…またラビ?」

「また俺さー!」

「いつもいつも、あたしなんかをからかうために…ご苦労なことね」

「苦労なんかないさ!それに、からかってもない!」

「…はぁ」



ため息をつく名前に見惚れていると「ラビは」と名前が喋り始めた。



「何でいつもあたしにかまうの?」



真っ直ぐ目を俺に向けて名前は言葉を続ける。



「抱きつくし、なんか…ヘンなこと言うし、いつもあたしを探しに来るし…」

「そんだけ分かってるんなら俺が名前に対してどうゆう気持ちか分かるんじゃねぇ?」

「ほら、またそう言う。あたしを自惚れさせて笑う気でしょ」



…なんで?

こんなに行動に表してるのに、なんで伝わらない?



「あたし、そうゆうの、いや」

「!」



イヤ、と呟きながら名前が泣き出して驚いた。

クールで、いつも俺を軽くあしらう、あの名前が 泣いてる。

びっくりして、どうすればいいのか分からず慌てる俺に構わず名前は話す。



「っ抱き、つくとか ほんとっに、恥ずか、しい、し」

「愛情表現 とか、って 言われ、ると なんて返せ、ば良いのか 分かんない、っし」

「ぁ、あたしは ら、ラビが 好きなのに、ラビは からか、ってばっかでっ」

「も、もう…もうヤだぁー」



どっどどどどうすれば良いんさ…!?

っつーか今名前の口から すき とかスゴイ言葉を聞いたよう、な…?

とりあえず今は名前と泣き止ませるのが先さー!



「な、泣くな、名前?」

「ぅーうるさいぃー」

「…可愛いさー…じゃなくって!チューしてやっから泣き止むさー!」

「! ほ、ほら また…そうゆうこと言うーぅあぁぁあぁああん!」



え、俺なんか余計なこと言った…?










あれから結局泣き止ませることができなかった俺は名前の頭を撫でていた。

珍しいことに、何も言わず黙ってる。(いつもは触るたびに「やめて」とか言われるし)

一体何がどうしたんさ…。



「名前、もう泣き止んだ?」

「……………うん」

「あの、さ」

「ラビ、今のことは忘れてくれる?むしろ忘れなさい」

「は?」

「だから、忘れてって言ってるの。…じゃぁあたし行くわ」

「ぇ、え?ちょ、待つさ!」



早足でここから去ってく名前の手を引く。

名前の顔は進行方向を向いたままで、俺の方には向いてくれない。



「名前が泣いた理由、俺なんだろ?」

「…」

「ならいつもみたいに責めれば良いんさ」

「…」

「謝るし。それに俺、名前のことは泣かせたくないんさ」

「っだからそれが嫌なの!」



怒鳴りながら俺の手を振りほどこうとしてるけどそれを許さないように握る手に少し力を込める。



「思わせぶりな態度とって自惚れるあたしを、からかいたいんでしょう?!」

「はぁ!?思わせぶりな態度って何さ!俺はマジで名前が好きなの!」

「またそうやって…!」

「よく聞くさ名前!」



名前の肩を掴んで力づくで俺の方に向き直させる。

それに驚いたらしい名前は目を見開いてこっちを見てくれている。



「俺が名前に近付くのも抱きつくのも探すのも、お前のことが好きだから」

「だから、思わせぶりな態度なんかじゃなくって、本当に好きだからそうゆう行動をとってるんさ」

「からかうつもりも、それを笑うつもりもないんさ」



そう言いながら頭を撫でてやるとその瞳から涙がこぼれた。



「ぅ、うそだ」

「嘘じゃないさ」

「だって…」

「俺は名前が大好きさ」

「らび…」

「名前は?俺のこと」



さっき聞きそびれたその言葉をもう一度名前に言ってほしくて。



「…ぁ…あたしも、………す……すき…」



ちゃんと俺を見て言ってくれる名前に、笑みがこぼれた。





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