「今日から新しくボク達の仲間に加わる子が来るんだ。そろそろだと思うんだけど…」
と、コムイはアレン・神田・ラビ・リナリーにそう伝えた。
「仲間が増えるんですか?楽しみだなー!」
「アレンくんが入ってきて以来、誰も入ってきてないものね」
「…」
「仲間が増えるんだから、ユウはちゃんと嬉しそうな顔しんとダメさー」
「…ファーストネームで呼ぶな…!」
「で、どんな子なの?兄さん」
リナリーがコムイに聞いた。
「元帥が見つけたイノセンスの適合者でね、女の子だって。確か君たちと同じ歳くらいだったかな?」
それを聞くとリナリーがとても嬉しそうな顔で喜んでいた。
女性で、しかも同年代のエクソシストはそうそう居ないから喜ぶのも頷ける。
その頃、噂の女の子が教団に着いたところだった。
「あのー…すみませーん…名前・苗字ですけどー…」
と、大きな門に向かって呟いていた。
すると城とも思える教団の周りを飛んでいる1体の黒いゴーレムから男性の声が発せられた。
『お、君が。じゃぁそこの門番の身体検査受けてくれるか?』
そう言われて「門番…どこ…?」と疑問符を飛ばしていると、顔のついた門に物凄い勢いで見られ始めた。
「(ぅ、わ!何?!殺される?!)」
門番の目から光線のようなものが出ていればそう思わずにはいられないだろう。
すると門番がこう告げた。
「開門〜」
一方教団内ではリーバーがコムイを探しているところだった。
「室長、例のエクソシストが到着しました」
「予定通りだね。門番の身体検査は受けたのかい?」
「問題なく済みました」
「よし。じゃぁリナリー行こっか。新しい仲間を迎えに行こう」
「ええ!」
だが名前は開門した入り口の前に突っ立ったままだった。
「入って良いのかな…てゆうかどこに行けば良いんだろう…」
名前が困っていると奥の方から1人の女の子が小走りにやってきた。
「初めまして。私はリナリー・リー。リナリーって呼んでね。あなたと同じエクソシストよ。よろしくね!」
「は、初めまして!名前・苗字です。私もファーストネームで呼んでください。えっと、今日からよろしくお願いします!」
「女の子で同年代の子なんて中々居ないから名前が入団してくれて嬉しいわ!」
「わ、私もリナリーが居てくれて安心した」
ほっとしてリナリーに笑顔を向けた。
するとリナリーが…
「…私が名前を守ってあげるから。安心して!(こんな可愛い子はほっておけない!)」
「え?(エクソシストって戦うものなんだよね?)」
「なんでもないわ。それじゃぁ兄さんのところへ行きましょう」
「うん」
「はいどーもぉ。ボクが科学班室長のコムイ・リーでーす。リナリーの兄でーす」
「(リナリーのお兄さんなんだ…)初めまして。名前・苗字です。これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね。名前ちゃんは寄生型だって元帥から聞いてるけど…」
「あ、はい。これです」
「へぇ…両方の掌なんだね。アスタリスクみたいなものが埋まっているんだね?」
「はい」
「じゃぁヘブラスカの所へ行こうか」
「(へらぶすか…?)…はい」
「怖がらなくても大丈夫だよー!」
コムイはそう言っていたので名前はその言葉を信じたのだが、あの逆三角形の乗り物に乗ってすぐ「帰る!ひぃー!怖い!」と言い出したのだった。
しかしそれはもう30分も前のことで、今はリナリーと一緒に談話室へ向かっているところだ。
「名前ってば怖がりね。だいたいはヘブラスカを見てから怖がると思うけど…」
「あの乗り物からもう怖い!フブラスカ?さんもやっぱり怖かったけど…教団って怖いね…」
そう言うとリナリーがくすくす笑い出した。
「そんなところも可愛いわね、名前」
「へ?!ないないないないない!それはない!」
「あ、ここよ、談話室」
「え、あ、本当だ。…けどここで何をするの?」
「名前の仲間達と会うのよ」
リナリーは扉を開けた。
そこにはアレン・神田・ラビがソファに座ってくつろいでいた。
「あ、神田!ラビ!リナリーと新しい仲間が来ましたよ!」
「んぁー?あ、ホントさ!」
「皆に紹介するわね。じゃぁはい、名前?」
「うん……初めまして。名前・苗字です。よろしくおねがいします!」
これ何度目だろうと思いながら名前は挨拶をした。
初対面の人達だけどリナリーが隣に居てくれるおかげで緊張はしなかった。
「僕はアレン・ウォーカーです。よろしくおねがいしますね!」
「俺はラビってゆうんさ。よろしく!」
「…………神田ユウだ」
「ユウはすっげ無愛想だけど根は優しいやつなんさ!こんなだけど許してやってな?」
「うるせぇ黙れ!誰が 「ストップ!名前が怖がるでしょ?」 ……っち」
「ユウってば怒られてやんの」
「斬るぞテメェ!」
「カンダ、落ち着いてください!」
「うるせぇ!モヤシは黙ってろ!お前も斬るぞ!」
そんな4人の会話を聞いていて名前は思わず笑ってしまった。
「っぷ」
「…名前?どうしたの?」
「あはははは!いつも4人でこんなことしてるんですか?おかしいー!」
「え?」
「コントだよコント!ひぃー…笑いが止まらない…!」
名前が1人で笑っているとリナリー・アレン・神田・ラビが黙って名前を凝視していた。
「かっわいいさー…」
「(可愛い笑顔だなぁ…)」
「…」
「…はぁ」
リナリーがため息をつくと名前が笑うのをやめた。
「あ、ご、ごめんねリナリー。笑いすぎちゃった…」
「いえ、いいの。ため息をついたのは名前のことじゃなくて…」
「(なら良かった!)…じゃぁなん」
で、と続くはずの名前の言葉はラビとアレンの大きい声によって遮断された。
「ビビビッて来たさ!」「ビビビッと来ました!」
そう言って名前の右手をラビが、左手をアレンが握っていた。
神田にいたっては名前から目をそらさず、心なしか頬を赤く染めているように見える。
そんな状況をリナリーが手を額に当ててため息をついて見ているのだった。
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