Re:Re:Re:Re:Re:あのさ | ナノ
From 泉くん
Title 連絡
『明日の部活、モモカンの都合で昼までだってさ。』
From 三橋
Title Re:連絡
『わかった。
ありがとう。』
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ぶーん、と机の上でマナーモードに設定したままの携帯が音をたてて震え、ちらりと泉は表示を確認した。
(三橋だ)
少し驚き、直ぐ様ぱくんと携帯を開く。たった二行の、簡潔な了承の言葉にすら、自分の頬がやわらかく緩むのを感じた。
返事が来るとは思っていなかったのだ。メールの文面を考えるのに人一倍時間がかかる三橋のことだし、尚且つ時刻は11時を回っている。眠い目をこすりながら、頑張ってボタンを押す三橋を想像した。
ふわふわと揺れる後ろ姿。小さな携帯を支える、大きな手のひら。桜色の爪先。
ぱくん、と携帯を閉じて、
(…………)
少し考えてから、泉は再び携帯を開く。
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From 泉くん
Title あのさ
『今、何してた?』
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風呂上がりのまだ濡れた頭をタオルでわしゃわしゃと拭いつつ、三橋はベッドにぼすんと飛びこんだ。項に触れる毛先が、ぴたぴたと冷たい。
「ふぃー」
思わず気の抜けた声が漏れる。
と、
不意に枕元で充電中の携帯がぶるぶると震え、三橋は慌てて身を起こした。
(泉くんから、返事だ)
頬が、急に熱をもったような気がした。
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From 三橋
Title Re:あのさ
『お風呂から出て、のんびりしてたとこ。
泉くんは?』
From 泉くん
Title Re:Re:あのさ
『俺もだらだらしてたとこ。
三橋がこんな時間に起きてるなんて珍しいな。』
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ぽちんとボタンを押し込んで、送信完了。
小さな画面を一度確認して、携帯を手に持ったまま泉はベッドに寝転がり、目を閉じた。
田島とは頻繁にメールのやりとりをしているらしい三橋だが、泉の元に来るのは部活の連絡やら課題のことやら、事務的な内容のメールが殆どだった。
泉自身、あまりマメにメールのやりとりをする方ではないので気にはしなかったが、かといって、こんな他愛無いメールに憧れなかったと言えば嘘になる。
嬉しい。
ニヤける顔を引き締めようと、ぱちんと片手で頬を叩いた。
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From 三橋
Title Re:Re:Re:あのさ
『今日はあんまり眠くなくて。
泉くんは眠くない?』
From 泉くん
Title Re:Re:Re:Re:あのさ
『俺はいつも12時ぐらいまで起きてるからなー。
でもあんまり夜更かしすんなよ。今日も、授業中寝そうになってたじゃん。』
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(授業、中……今日の、英語の時間のこと、だ。バレて、る……)
シーツの上にぺたんと座り、三橋は慌てたようにぱくぱくと口を動かした。メールの相手に伝わるはずもないのだけれど、見透かされていた気恥ずかしさに、ついつい挙動不審になってしまう。
(本当は、眠いけど、夜更かしするな、って言われても、)
(今日は、ダメなんだよ)
今夜は泉にメールをすると決めていた。落ちてくる瞼を必死に持ち上げて、精一杯はやく返事を返そうと、携帯を握りしめていた。
泉は、まだ気付いてないのだろうか。気付いていなければいいのだけれど。
(だって、明日は、)
心が逸る。
時刻をちらちらと何度も確認しながら、浮き立つ気持ちを押さえつつ、そっと、短い文章を打っていく。
送信ボタンを押す指が、少し震えたような気がした。
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From 三橋
Title
Re:Re:Re:Re:Re:あのさ
『お誕生日、おめでとう』
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【 着信 泉くん 】
『あ、え、泉く』
『ごめん、夜中に電話して。……でも、なんだよ、さっきのメール』
『ごめ、おれ間違っ……?』
『ちょ、ごめん!間違ってねーよ!誕生日だよ、忘れてたけど。そーじゃなくて、』
『……?』
『すげー、嬉しかった』
『一番に祝ってくれて、ありがと』
『どういたし、まして!』
『あのさ、』
『 ?』
『明日、練習終わったあと、暇?』
『うん』
『そのまま空けといて。
一緒にいたい。誕生日プレゼントは、それでいーから』
『プレゼントも、ちゃんと、あるのに』
『マジで?それも欲しい!』
『わがまま、だ!』
『誕生日だから、大目にみてよ』
『いい、よ。明日は一緒に、いよう』
『おう』
『プレゼント、楽しみにしてて、ね』
Re:Re:Re:Re:Re:あのさ
(久しぶりだ、誕生日がこんなに嬉しいだなんて!)
(ハッピーバースデー、俺!)
ハッピーバースデー泉!
いつにも増して、似非泉と似非三橋になりました。すみません。愛はある!
081129