※少し病んでます







告白された?誰が?誰に?
ああ、答えなくても知ってるよ。お前が誰かに呼び出されたことくらい狭い部内じゃ筒抜けだ。なぁ、三橋、お前がそういうことするんだ。まるで安っぽいドラマの駆け引きみたいに、俺は他の子に告白されました、つって?まあそーだよな、俺は可愛いげのある女子みたいにお前のこと癒したりなんだりするわけじゃないし、手のひらだってマメだらけで固ぇし。
で?お前は何を期待して俺にんなこと伝えたわけ?俺が、お前に、他のやつなんか見ないで俺だけ見てください俺のことだけ好きでいてくださいとかってすがりつくとでも?そんな脅迫めいた駆け引きに俺が易々引っ掛かるとか、笑わせんなほんと馬鹿じゃねーの?なぁ、三橋。決定権がお前にだけあるとでも思ってんの?別のやつ好きになりましたーだからバイバイ、って?んなこと俺が簡単に許すとでも?随分と買いかぶられたもんだなマジで。
お前が他のやつを選ぼうが選ばなかろうが俺には一切関係ねーよ、絶対に、絶対にお前から離れてなんかやらない。なぁ言って欲しいんなら言ってやるよ俺だけ見てろ、俺のことだけ好きでいろよ。あっさり離れられるくらいなら最初からこんな近付くわけねーだろ分かんだろそんくらい。ふざけんなよ俺はどんなことしたって認めてなんかやらないお前がもし本当に離れたいんなら離れてみろよ。


高熱をともなってほとばしる言葉たちは、触れた端から崩れて霧散していくようだった。一息で言いながら阿部くんはぼろぼろと大粒のしずくを瞳から滴らせて、だらりと下げたままの両手でそれを拭おうともしない。ぽたりぽたりと白いシャツに染みをつくっていく涙がひどく綺麗に見える。たった一言でこんなにも動揺しながら、それでも俺をわざと傷つけるように言葉を選んで、俺が逃げやすいように逃げ道をつくってくれるその優しさに胸の奥がじわりとうずいた。
冷静にみえる彼の薄氷の下にこんな業火がひそんでいることを、きっと誰も知らない。

「お、れは、別、に」
「……なんだよ」
「俺は、離れた、い、なんて」
「関係ねーつってんだろ」

阿部くんが斜め下の地面を睨みつけながらそう吐き捨てた瞬間、伏せたまつげの隙間からまた一粒しずくがぼろりと転がった。なんて、きれいなんだろう。
心臓が鎖で締めつけられるようにきゅうきゅうと鳴いたので、たまらず阿部くんの肩に手を伸ばす。引き寄せようとしたのだけれど逆に強く引き寄せられて、鋭い犬歯が唇を噛んでいく。わずかな痛みに眉を寄せつつ、けれど静かに目を閉じた。
変化球でしか愛情を伝えられないのはお互いさまだと知っている。






―――――――――

QLOOKアクセス解析
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -