『ひどいよ…信じてたのに』 初めて味わう絶望感。 涙で震える声。 家族よりだれより大切だった人から受ける裏切り。 なにか言ってほしいのに、弁明をしてほしいのに。 祈るように見つめても、口を開こうともしない。 『なにか言ってよ…!キョウ…!!』 目尻から飛び散る涙が、暁久の頬を伝う。 こんなのはキョウじゃない。 泣いてる暁久を放っておくのは、自分のよく知るキョウじゃなかった。 暁久がからかわれれば真っ先に庇ってくれた。 涙を零せば、そんなことで泣くなと呆れながら濡れる頬を拭ってくれた。 いつもそばにいてくれた。 いつも味方でいてくれた。 近くて。 あまりに近すぎて。 俺はなにも、見えていなかったのかもしれない。 [しおりを挟む] 戻る |