「真行地 煉て…!学園ランキング二位の真行地 煉…!?」 暁久は信じられず、何度も記憶の中を探る。 真行地 煉。 学園ランキングが張り出されるたびに見た、自分より上位にある名前。 いつかは自分が上位となり、一位をとってみせると、見上げ続けた名前だ。 (まさか…。あの真行地 煉が目の前にいる男で、しかも不良チームのリーダー…!?) そんなことがあるのだろうか。 学園への貢献度、生活態度、学力等で決められるランキングで、未成年者で喫煙をする人間が二位になるなど。 動揺する暁久へ、男は鬱陶しがるように持ったタバコを缶でもみ消した。 「二位だかなんだか知らねえが、俺はなりたくてなったわけじゃねえ」 「つまり…本当にあの真行地 煉…」 学園ランキングの上位者は、学園で有名人だ。 暁久も7位ということで、学内を歩けば注目される。 しかし他人のことより自分が上位にいくことだけを考えていた暁久は、ランキング上位者の顔を気にしたことがなかった。 (こんなところで会うなんて…) それと同時に負けず嫌いが顔をだす。 不良チームのリーダーをしていてランキング二位ということは、真行地がその他の分野で非常に優れているということだ。 努力をしてもまだ上がいる。 負けてなどいられない。 「お前はランキングに左右されるくちか?」 真行地は顔をしかめ、二本目を取り出す。 ライターに火がつきタバコから煙がのぼった。 「そうですね。いずれは一位を取るつもりでいますから」 宣戦布告のつもりで言った暁久に、真行地はさらに顔をしかめた。 「気に入らねえな」 自分に盾つく者は気に入らない。 そういうつもりで言ったのかと思ったが、真行地から乱暴に腕を引かれ、暁久は目を見張った。 「んっ…!」 唇を塞がれた。 空いている手が暁久の頭へ回り、唇が隙間なく合わさる。 (なんで…キス…) 周囲から上がるどよめきが、ひどく他人事のように感じてしまう。 真行地からキスをされ、驚きのあまり抵抗ができない。 思考が停止していた。 彼の胸を突っぱねることもできぬまま、しばらくすると真行地は唇を離す。 「俺が気に入った奴が、あんな下らねえもんに左右されんな」 [しおりを挟む] 戻る |