加賀見は笠原達の向かいに座る。
その姿にちらりと目をやって、暁久はすぐに逸らした。


加賀見恭祐はまだ二年ながらも、数いる三年生を押しのけ学内ランキング4位につけている。もちろん学年の中ではトップだ。
入試は一位で合格し、入学式の際には新入生代表としてあいさつをした。
テストでも学年一位で、二年でトップを独走している。

入学式を風邪で欠席した暁久が最初に加賀見を知ったのは、中間テストの結果が張り出されたときだった。

自分の名前の上にある加賀見恭祐という文字。
心臓が嫌な音をたてた。
思い出したのだ、小学校低学年のとき最低な別れ方をした幼なじみのキョウのことを。
暁久は愛称で呼んでいたが、彼の名前は加賀見恭祐。
嵩頭学園二年でトップをとる男と同じ名前だった。


暁久は下手に避けるわけにもいかず、空いている加賀見の隣に座る。
彼がキョウなのかは、暁久自身よくわからなかった。
キョウと別れたのは小学校低学年の頃で、高校二年となった今では身長が伸び、顔付きも随分男らしくなっていることだろう。
暁久も可愛いと言われていた幼少期とは違い、今では格好良いと言われているのだ。
加賀見にキョウの面影があるかと言われても、よくわからなかった。


(でも加賀見なんてそうある名前じゃないんだよな…)


当の加賀見は暁久を無視しているため直接聞くのも憚られ、疑念のまま一年が経ってしまった。
それがこうして同じ生徒会として活動することになるのだから、運命とは皮肉なものだ。


「生徒会全員集まったわけだけど、今日って顔合わせみたいな感じなんだよね?」


会長である加賀見に場を進行させる意思がないため、仕方なく副会長の暁久が口を開く。
確認するように笠原と木々野を見る暁久に、笠原が身を乗り出した。


「そうなんだけど、さっき風紀委員長がここに顔出すって言ってたよ!」
「はあ?風紀委員長?」


そんなことは聞いていない。
暁久が思わず声をひっくり返らせたとき、タイミングよく生徒会室の扉が開かれた。


「お待たせ!諸君!」


待ってねえし。

それどころか今来ると聞いたばかりだ。

威勢の良い掛け声のわりに、のろのろと慣れない松葉杖を付きながらやってきた風紀委員長に、暁久は顔を引きつらせた。



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