戦争記でプロローグ4
「冗談でしょ?」
「至っておお真面目だ!!」

次の日に、俺たちはさっそく声をかけた。
お昼にボールを抱いたまま昨日の話をすると、顔を思い切りしかめられた。

「嫌だ。」
「なんでだ!!!」
「早川くん熱いよ…」

ずい、彼女の方へ身を乗り出す。
俺はこの時からもう完全にバスケ部へ引き込むことを決めていた。

「私、マネージャーとか、人の世話やくようなこと向いてないと思うの。」
「俺たちの昼練にこうやって付き合ってくれるのにか?」
「それとこれとは話別でしょ?」

中村もこっち側だ。
一緒になってまくしたてる。

「でも、バスケの事よく知ってるし、面倒見だっていいと思うんだ。」
「お(れ)も!!」
「バスケは、兄がやってるからちょっと知ってるだけだよ…それに新入の時期も若干ずれちゃったし。」
「途中か(ら)でも大歓迎だぞ!」
「何より、うちの先輩たちがお前に興味持ってる。ここで俺たちの誘い断っても、一筋縄じゃ逃げ切れないぞ。」
「えええ…」

俺たちの気持ちもあるが、今回こいつの入部を諦めきれないのは笠松さんの事があるからだ。
いままでマネージャーができても、あの人と上手くいかなくて辞めて行った人も結構いるって話だ。
なのに、今回この話を出したのは張本人であるあの人だ。
貴重すぎる人材だと、俺は思う。

「強豪校のマネージャーなんて、募集かければいくらでも来るよ。こんな渋る奴よりもそういうモチベーションの高い人の方がいいって。絶対。」
「こっちにもいろいろあってな。それじゃあダメなんだよ。」

中村が小さく笑って言う。

「一度体験入部でもいいから、来てみないか。」
「嫌だよ。行ったらやらなきゃいけなくなるもん。」
「どうしてもダメならやめればいい。」
「逃げ切れないって言ったのは誰よ…」

チリ

耳元を触る彼女に、もうひと押し。

「だめだと思った(ら)、お(れ)か(ら)先輩たちに(諦)め(る)ように言うか(ら)。」
「…」
「な?」

にぱ、と笑っていうと、深い溜息。
これは彼女が俺たちの押しに諦めた証拠。
最近気が付いたけど、こいつは俺と中村に弱い。
や、甘い、かな。

ちょうど予鈴がなったので、放課後帰らずに待っていろと告げて体育館を出た。


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bkm
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