「では、何故このような事になったのか詳細まできっちりと説明しなさい」
何とか雅臣から引き離されて壱哉に拾ってもらった服を着ると春佳が低い声で聞いてきた。
いつもの胡散臭い笑顔も怖いけど無表情なのも怖い…!
説明しろって言われてもなぁ。
どう言えば良いかな。
「どうもこうも、見たままだ」
「み、見たままって…大樹!」
「おっ、落ち着け壱哉っ!」
まだ裸のままベッドで怠そうに寝てる雅臣が代わりに答えたけどそれ答えになってないって。
見たままの状況でどう勘違いしたのか分からないけど焦った壱哉が俺をガクガク揺さ振ってくる。
あー、もうっ!
「一緒に寝ただけだって!」
雅臣が一緒に居ろって言って寝てただけなんだからやましい事はない!
はっきり言ったら伝わると思ったのに…壱哉は口開けっ放しで驚いた顔してる。
春佳はもう怖いオーラを肌で感じるから見たくない!
何でこんな事にっ!?
「……俺が眠かったからこいつを抱き枕代わりにして寝ただけだ」
「え?そ、そうなのか?」
「なら何故服を着ていないんですか」
「俺は寝る時服脱いでんだよ。大樹はついでに脱がした」
「ついで!?」
そんな理由で俺は春佳に怯えて壱哉に揺さ振られたのか…!
相変わらずの傍若無人っぷり…でも良かった。
昨日は寂しそうだったから心配したんだよ。
いくら恐怖の対象でも幼馴染みが寂しそうなのは放っておけないし。
あ、そうだ!
「なぁ、皆揃ってんだし今から準備して雅臣の誕生日会しない?」
「「「………」」」
あれ?何で沈黙?
雅臣の眉間に皺寄ってるけど嫌って言わないし満更じゃなさそう。
溜息吐いてたけど春佳は携帯を取り出して料理を注文してるっぽい。
これって誕生日会するんだよな…?
「大樹、お前は雅臣のケーキを買ってきなさい。安物なんて許しませんよ。二丁目の洋菓子店で買ってきなさい」
「おうっ」
「俺も一緒に行くよ。春佳は主役の準備手伝ってやれよ」
そう言って壱哉は俺の手を引いて部屋から出た。
何だかんだでやっぱ皆もちゃんと雅臣を祝いたかったんだな。
でもちゃっかり遠くてかなり高級なケーキ屋を指名する辺り春佳らしい…。
まぁいっか。
これからのパーティーが楽しみで軽い足取りでケーキを買いに向かった。
「そういやさ、何で雅臣の誕生日パーティーしなくなったんだろ。寂しいよな」
「大樹、忘れたのか?昔、大樹と雅臣が喧嘩して大樹が雅臣の誕生日パーティーにはもう行かないって言ったからなくなったんだぞ」
「……え?おじさんとおばさんが家に帰ってこないとかじゃなくて?」
「違うよ。おじさん達は祝いたがってるけど雅臣がヘソ曲げて誕生日には絶対家に居るなって言ったから家空けてるんだって」
「おっ、俺の所為だったの!?」
「春佳、これからはまたパーティーするぞ」
「貴方は本当に現金ですね」
2011/11/24
前回のその後です。
雅臣は寝る時裸です。たまに下着も脱ぎます。
誕生日の時はちょっとシリアスっぽかったのですが事の真相はこうなっております。
拗ねると意地を張っちゃう雅臣です。
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