ゴォォォ、という音が耳を抜けていく。
白い部屋で変な爺さんに会って、私の手に変な模様が出て、火柱になって、本が私を"選ん"で?
今・・・、私は?
「いやあああああああ落ちてるううううううう!!!」
まっさかさまである。
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「―――ぁぁああああ!!」
今だに地上は見えない。
声が枯れ涙も枯れてきた。とにかく鋭くたたき付けられる風が痛い。
どうしよう、どうしよう、どうすればいい!?
頭で考えても何も思いつかない!!
やばい、やばいやばいやばいやばい!!
その瞬間、雲が切れた。
「う、うううううそ!嘘!?下地面んんんん!!」
間近に迫る地面の色。
なにやら人までいる。
やばい、まじでどうするどうするどうするどうする―――
キーンという耳鳴りを感じる。
それと共に、今迄の焦りは何処かへ飛び、脳髄から冷えるような感覚。
「いあ、」
頭の中で術式が形成されていく。
嗚呼、またあの感覚だ。
ヤメテ、何ヲスル、気、ナノ──
そんな自分の意識とは別に、自分の中で別の何かが暴れているかのよう。
何語かさえもわからない言語と数式が頭の中でカチリカチリとパズルのようにはめ込まれていく。
「いあ、いあ、いたくぁ・・・いたくぁ!くふあやく、ぶるぐとむ、ぶぐとらぐるん、ぶるぐとむ、あい・・・」
地上の様子がはっきりと見えるようになってきた。
なにやら大男が何かに切りかかろうとしているようだ。
狙われている細い男はソレに背を向けゆるりと歩いている。
─気づいて、ないのか。
他にも近くで血や肉が飛ぶような喧嘩(?)が繰り広げられている。
(――あの男、)
丁度自分の落下している真下に大男。
無抵抗な人に後ろから不意打ちなんて男のする事じゃないだろ!とか、この場にそぐわない事を思いながらも自分の意識とは関係なく勝手に術式を完成させていく。
「あい、いたくあ!」
そして私は、暴力的な風を纏った私は速度を落とさず地上へと堕とされた。
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モノホンのクトゥルフ神話ではこんなホイホイ召喚まがいのことしてたら惑星ごと吹っ飛ぶで・・・!
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