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時 と 瞬 間
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04


※こちらは某SNSでのそういった行為を推奨するものではございません。
※良識ある成人済の方のみお進み下さい。

上記ご理解の程お願いいたします。


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ンンンイイイイイイイ!!!!
やばいやばいやばい!!!遅刻してしまう!!!!!

自宅アパートのボロい階段を急いで駆け下りて職場へ全力疾走。
目指すはギアステーション事務室!

「おや、おはようございます苗字、遅いですよ。」
「ウッおは、おはようございますボス、ちょっ急いで着替えてきますッウェ、ゼェ、」
「始業までもう少しですからね、早く準備を・・・っくしゅ、」

ギアステーションの受付付近で書類を片手に技術部の職員と話をしている黒ボスに、朝からお小言を頂いてしまった。
そんなお小言の途中で小さなくしゃみが混ざる。
受付のお姉さん達がガン見してるじゃないか、どうした黒ボス?風邪か??
いやいや、そんな事より私はタイムカードを押さねばならない!
ロッカールームへ猛ダッシュ!鉄道員の制服に着替えてタイムカードをガシャンコ!あっぶないあと2分だった!セーーーーフ!
そのまま早歩きで事務室へ。

「さて、時間ですので朝礼を始めます。」

ボスの声が聞こえて来て慌てて滑り込む。
部屋に滑り込んだ瞬間ギロリと睨まれたがそんな事じゃあもうへこたれない。
ギアステ職員は強靭な精神力を持っているのだ!ふはは!

「夜勤者より申し送りをどうぞ」
「はい、昨晩ですがー・・・」

朝礼用の渡された資料を目で追いながら、昨日の出来事を思い出す。
低画質な写真から見ても腹は薄く、やや浮き出る肋はあるものの、飢え感や病的なものは感じない。
柔らかそうなカーペットにぺたりと座り投げ出された、成人男性のくせに細く、白い蝋のような艶かしさがある下肢。
今から考えると夢だったんじゃないか、位の気持ちである。
思い出して少し上気する頬の熱を逃がそうと、目を細めて ほぅ、と息を吐く。

「こら苗字、聞いていますか?朝礼中でございますよ。」
「聞いてまーす。」

あーあ、またお小言頂いてしまった。
受付の子たちはよくこんな小姑みたいな黒ボスにキャイキャイできるものだね。
まぁ高身長・整った顔・地位(収入)って所だろうよ、とは思うけれども。

「それでは朝礼は以上でございます。本日も安全運転で参りましょう。」

黒ボスの一言で朝礼が終わり、職員は持ち場へと散り散りに去っていく。
私はまだ事務室で書類仕事があるし、昨晩終わらせたファイルをボスにチェック入れて貰わねばならない。

「黒ボス、本日期限のファイルになります。確認をお願いいたします。」
「はい、承りました。・・・くしゅ、失礼致しました。」
「風邪ですか?珍しいこともあるんですね?」
「ええ、昨晩ちょっと・・・。」

昨晩、という言葉にドキリとする。
わたくし、丁寧な物言い、黒ボスに共通するところは思い当たるものがある。
いやいや、匿名SNSだぞ、敬語で接する人もいるじゃないか、いやでも・・・、

「・・・苗字?どうしました?」
「いえ、何でもありません。他に必要書類等ありますか?」
「ファイル内容をチェックしてから社用通信でお知らせ致しますよ。」
「了解です、お願いします!ボスお大事にー!」

ファイルの入ったUSBをボスに渡して事務室を出る。
んはは、やっぱりあんな無表情鉄仮面ドS上司があんなえっちでいじらしい人なわけがない。


私が勤めるバトルサブウェイでは現在7本のトレインが運行しており、担当する鉄道員はそのトレインによって手持ちを使い分けている。
今日私が担当するのはダブルトレイン。始発までに4匹の手持ちを選び、入念にお手入れをする。
私が使うのはゴーストタイプが多いのだが、その性質上あまりダブルバトルに向かないため普段はシングルトレインかスーパーシングルトレインに配属されることが多い。
ダブルもマルチも好きなんだけれど、ね!

『ダブルトレイン、車両調整完了致しました。1から7両目担当の鉄道員は順次乗車をお願い致します』

ピピピ、とアラーム音が鳴り、ライブキャスターに社用通信が入る。
私は今回6両目。挑戦者がいい感じにピリピリしてる、バトルを楽しむには絶好のポジション!
よっしゃあ久しぶりのダブルバトル、楽しんで来ますかね!!


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「悪タイプは良くない・・・」

そう、負けたのだ。あまりにもコテンパンに、ボッコボコにしてやられたのだ。
タイプによるゴリ押しというよりも、相手の趣味パと私の手持ちが相性最悪といったところか。
とても可愛がられ育てられているだろうツヤツヤのバンギラスにサザンドラ。悪い怪獣はかっこいいんだぞ!!!と全面に押し出す悪タイプパーティにうちのゲンガーちゃんは不安そうにこちらを振り向いたものだ。
あの手この手を使い避けては攻撃を繰り返したものの、狭い車内では無理なものは無理。あっけなく敗北してしまったのである。

「ウェェンごめんねゲンガーちゃんヨノワールちゃん・・・」

関係者扉の内側で座り込み、手持ちを開放してめそめそしているなんてらしくないとは思いつつも、先程の頭から押さえつけられ苦しみ藻掻くようなバトルを思い出して申し訳なさが募る。

「おや、こんな所でサボりとはいい度胸ですね。」

不意にかけられた声にのそりと顔を上げるとそこには嫌味たらしい上司の姿。
制帽をかぶり、サブウェイマスターのロングコートを身に纏い、腰のボールホルダーには手持ち達が待機している。

「黒ボス・・・、すみません、すぐ報告書あげます。」
「ええ、クダリが待っておりましたので早くして下さいまし。」
「ウッすみません、急ぎます。」
「ええ。そうしたら休憩で構いませんよ。」
「ありがとうございます・・・失礼します・・・」

負けて傷心なところに黒ボスとは・・・泣きっ面に蜂!!!
涼しい顔で関係者通路からホームへと出る上司をじとりと横目で睨むと、バトル報告書のために事務室へ急ぐのであった。


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区切ります。


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