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曇りの七夕
'13七夕
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「今年も雨かよ・・・」
ざあざあと振る雨にがっくりと項垂れる名前。
空は雲に覆われ、星はおろか月の光さえ届かない。
しかも、気温が高いまま雨が降っているせいで、湿度が大変苦しいレベルに達している。
「あーあ・・・」
納得が出来ない名前に、ひょっこりと顔を出すのはサブウェイマスターの白い片割れ。
「どーしたの?」
「ああ、せっかくの七夕なのにめっちゃ雨振ってて。」
「だからこんなベタベタしてるキモチワルイ。」
「確かにベタベタ気持ち悪い・・・」
「それに雨だからバトルトレインお客様少ない・・・」
「家から出たくないしね・・・、じゃなくて!天の川見えない!!」
眉間にしわを寄せた名前を見てクダリはきょとん、としている。
「名前ちゃんは、七夕曇るのキライ?」
「え、だって天の川見えないじゃん。」
「天の川見えないとダメなの?」
「だ、だって、七夕って1年に1回織姫と彦星が会えるんだよ?天の川で!!」
なのになんで晴れてくれないの!?と、納得できない事を必死に伝える名前。
それに対して、うーん、と一瞬だが考える素振りを見せたクダリ。
「ぼくは曇りのほうがいいなあ。」
「会うなってこと?ヒド・・・」
「ううん、そうじゃないよ!!」
そう言うとぱあ、と満面の笑みを浮かべる。
「だって、雲で隠してくれたほうが恥ずかしくないじゃん!」
「そういうこと!?」
「だって、織姫サマも彦星サマも、せっかく1年に1回の再会で、色々おハナシしたいと思うし、いっぱいいっぱい大好きって言いたいとおもうんだ!なのに、それを色んなヒトに見られるのってハズカシイよ!!」
「い、言われてみれば・・・。」
「でしょー。」
もし、クダリが言う通りなら、確かに晴れている時は私達が逢瀬の邪魔をしてしまっているかもしれない。
そうなるのであれば、私達の見えない曇の上で沢山愛を紡いで欲しいな・・・と、静かに名前は思うのだった。
「あ、でも天の川キレイなの見たいなあー!」
「どっちなのよ!!!」
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ただの会話になってしもうた