※基山が女装・鬼畜
※いかがわしい



「ほんと守はかわいいね」
「馬鹿で悪かったな!」

あのあと、南雲は散々ヒロトに文句を言って部屋を出て行ったしまい、涼野もその後をついて行くようにして退室してしまった。
今はトランプが散らばる部屋に円堂と女装ヒロトが二人っきりである。円堂にしてみればこの状況ははっきり言って気まずいという他なかった。どうにか話題を作ろうと口を開いてでたのは皮肉にもヒロトの身なりについてだった。

「それにしてもさ、よくそんな服持ってたな」

ヒロトが着ているのは透かし模様の入ったピンク色のフリルワンピースで、大胆にも胸元が大きく開いたデザインだった。男子学生のタンスにはとてもじゃないが縁のないものだ。

「ああ、これは瞳子姉さんが持ってたやつを借りたんだよ。全然着てなかったみたいだし」

「へ、へえ」

話題を振っておきながら円堂の口からでたのは関心のなさそうな返事。だが今の円堂にはこれが精一杯であった。なんせヒロトの格好を話題にしたばっかりに余計にヒロトを意識する羽目になってしまったのだから。
ピンクのワンピースから彼の白い肌が覗く度、円堂はひどくいたたまれない気持ちに苛まれた。しかし悲しいかな、思春期真っ只中の彼はヒロトのその姿から目を離せずにいた。
そしてそんな円堂の心中を察するヒロトもまた、年頃の少年であった。

「守」
「っえ…!?お、おまっなにしてっ」

ヒロトは円堂を部屋の隅に追いやるようにして距離を詰め、おもむろに服を肩の辺りだけはだけてみせた。
円堂は目を白黒させて驚くが、ヒロトはさらに追い討ちをかけるようにワンピースの裾を腿の辺りまで持ち上げた。そして一言。

「守、触っていいよ」

「は、あっ!?わけわかんねーって!じ、冗談きついぞ」
「冗談じゃないよ」

さらにヒロトが距離を詰めると、とうとう円堂の背が壁にぶつかった。その顔は気の毒なほどに真っ赤であったが、ヒロトの猛攻は終わらない。

「あっおいこら!」

止める間もなくヒロトの右手が円堂のシャツの中にへと滑り込んだ。部屋の隅に閉じこめられるように覆い被さられ逃げることは適わない。焦った円堂が手足をばたつかせて激しく抵抗すれば、ヒロトの舌が円堂の首筋に這わされた。

「はっ、ひろとっ、やめ、ッ!」
「守ってかなり頑固だよね」

まあそんなところもかわいくて好き、なんて言ってヒロトが笑う。愉しくて仕方がないといった笑みだ。
それに腹をたてた円堂がせめてもの抵抗とヒロトの首筋に噛みついた。瞬間、円堂は絶叫した。ヒロトが円堂の股間にぐりぐりと膝を押し当てたのだ。

「ひッ!ああ、っやめっひろ、やらッああ」

尚も膝で脚の付け根を不規則なリズムで揺すられ、円堂はヒロトのワンピースを掴んだまま体を預けた。その姿にこそりとまた笑みを浮かべたヒロトは乱れる円堂の耳元に口を寄せた。

「守は誘うのがうまいなあ」

陶酔したように囁くヒロトの声には甘い色が滲み、瞳は欲情と愛情で水気を帯びていた。しかし円堂にはそれに気付く余裕すらない。半開きになった口からはとめどなく涎が滴り落ち、吐く息はひどく熱い。ワンピースを掴んだ指先は力を入れすぎて真っ白になっていた。
きっと聞こえはしないだろうと思いながらも、ヒロトはゆっくりと刷り込むように愛を囁いた。
「好きだよ、守」
「あ、おれっ、おれも、!き、すきだ、」

聞こえてなどいないと思っていた言葉は、しっかりと届いていたらしい。円堂は子供のように好きだと繰り返し、キスをせがむように顔を寄せた。
一瞬面食らったヒロトであったが、すぐに意味を理解して円堂に口付けた。そのままシャツの中から手を引き抜いて円堂のズボンに手をかける。もう円堂からの抵抗は、ない。

「好きだよ、守」

もう一度だけ囁いて、ゆっくりとズボンを下ろそうとしたそのときだった。


「おーい邪魔すんぜ……え?」
「「あ」」




「馬鹿か君たちは」

涼野は漫画から目を逸らすことなく目の前に座るヒロトと南雲を罵倒した。

「いや今回も晴矢が悪いよね、どう考えても」
「はあ!?あんたがあんなことしてるのが悪いんだろ!つーか今回も、ってなんだよ!!」
「恋人同士が二人きりでいるのにノックもせずに入るとか君常識知らずなの?」
「だからってあれはっ!」

「うるさい!」

涼野の怒号と漫画が飛ぶと二人は同時に首をすくめた。
ちなみに携帯を探しにヒロトの部屋に入ってきた南雲に驚いた円堂が、お門違いにもヒロトの顔に拳をぶち込んで二人を部屋から追い出し今に至る。
おかげでヒロトの頬にも氷嚢が当てられることとなったのは言うまでもない。そして南雲がまたヒロトの拳の犠牲になったことも、言うまでもない。
あれきり円堂は部屋に籠もったままでてこず、声をかけても返事はない。
彼の性格上、もうしばらく時間が経たなければ顔を見せてはくれないだろう。

「はああ…どうしよっかなあ」

下半身と痛む左頬の熱に苛まれながら、ヒロトはがっくりと肩を落としたのだった。


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通常運行3馬鹿
ヒロト暴力的すぎる



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