※基山が女装・鬼畜
円堂は今日ヒロトの家へ遊びに行く約束をしていた。珍しく早起きをして女のように鏡で髪の毛を整えてサッカボールとお菓子だけを手土産にヒロトの家のヒロトの部屋にやってきた―――
円堂の目の前では南雲が可愛い女の子に馬乗りで顔面を殴られているという(しかも超握り拳)過激すぎるスプラッタショーが繰り広げられていた。
「ちょ、まじやめごべっ、ひろ、ごめぶへあ」
南雲は必死に謝罪の言葉らしきものを発しようとしているが無情な美少女は拳の嵐をとめない。ごん、と骨が鳴く音が響く。一発がひどく重いらしかった。
「おっおい、これ以上は南雲の顔が!」
再び少女の凶器(もう一度言うが超握り拳)が南雲の顔に振り下ろされそうになったところで慌てて円堂がその腕を掴めば、その子はひどく驚いたように円堂を振り返った。うわあすごくきれいだなあ、なんてまじまじと少女の顔を見つめた円堂はそこでやっと気づいた。
「ヒロト!?なんでこんな!」「守!?なんでここに!」
「南雲をボコボコに…!!」
「そ、そこ!?」
「じゃあ、ヒロトは南雲と涼野の三人でトランプをしてて負けた罰ゲームとして女装をさせられて、そんでそれを笑った南雲を殴った、と」
「少しだけね」
「いやその形容詞は間違ってるから!間違ってるから!!」
顔に氷を当てた南雲がヒロトの首根っこを掴んで叫ぶ。氷嚢の下から覗く腫れ上がった赤色がヒロトの怒りを如実に語っていた。
「もうケンカすんなってば!おい、涼野もアイス食ってないで止めろよ!」
「拒否する」
円堂は叫び過ぎた喉の痛みとは別に頭を抱えた。
そんな円堂にヒロトがそういえば、と何かを思い出したように声を掛ける。
「守はなんでここにいるの」
「なんで、って忘れたのか?今日はおまえの家で遊ぶって約束して…」
「それって明日だよ」
瞬間円堂は文字通り顔から火を噴いた。