「ただいまー」
へらへらと笑いながら障子を開いたのはグランだった。
グランは着ていたオレンジ色の上着をそこらへんに掛けると、いそいそとコタツに足をつっこんでから(つーか俺の隣じゃねえか)そのにやついた顔のまま誰に聞かせるでもなく今日の雷門偵察の結果について話しはじめた。
「今日もまも、円堂はかわい、素晴らしいプレーを見せてくれたよ。それにしても円堂の足はいい。こう、ちらりとスパッツが覗くのがいやらしくて…。やっぱりまも…るは俺のハートに流星ブレードだ」
本気でぶち殺してやろうかと思ったが耐えた。俺まじすげえ。

グランの言う偵察っていうのは名ばかりで、話のほぼすべては円堂についてのことだ。こうして聞く結果報告は建前なんていうものが消滅した自己満足と隠すつもりのない欲望の塊だった。オープンすぎてストレスフリーだ。
そんな話を真剣に聞けるほどの忍耐力まではないので、いつも通り長くはもたないポーカーフェイスで存在ごとシカトする。
ちなみに俺たちの前に座る風介は指先を黄色く染めながらミカンの皮むきにいそしんでいて、まったく話を聞いていない。称賛に値する鋼の三半規管だと思う。てか白い筋とりすぎだろ。
「でね、守が俺に…って聞いてるの?」
そう言ってグランは俺の方を向く。なんで俺にふるんだ。まあ返事くらいならしてやるけど。
「…聞きたくなくても聞こえてくる」
「ならいいや。で、そこで守が」
また円堂。もうストーカーじゃねえか。ほんっと気持ちわりい。
「守が」
うるせえ。ほんとに黙れ。じゃないと殴り飛ばすぞ。ああくそ吐き気がする。全部グランのせいだ。
目の前が変に歪むのも鼻が痛いのも、全部、ぜんぶ。

「ねえ」
気づいたら目の前にグランの顔があった。ち、ちけえ!
「な、んだよ…」やっと出たのは情けなくも掠れた声。ばくばくと心臓の音が耳元で聞こえるような感覚がする。
「いや、話聞いてなかったみたいだから。…てゆうか顔赤いよ?」
だ、だれのせいだと!!
「あ、もしかしてコタツの中でオナ「ちげえよ!!!」
こいつまじさいあくだ!死ね!つーか赤くなった5分前の俺死滅しろ!
あまりの怒りにどたどた音をたてながら部屋をでた。それでも後ろの様子は気になって聞き耳をたててたら、グランがなにごともなかったかのように円堂について話し出す声だけが聞こえてきてまた目頭が熱くなった。
自暴自棄だ。もうグランも円堂も俺も全部ぜんぶ爆発しろ。


…やっぱグラ、ヒロトと俺は爆発するな。


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なんだか頭悪いなこれ



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