※高校生・同居
※ヒロトは吉良を継いでる


両手にスーパーのビニール袋。鼻歌まじりのステップでマンションの廊下を進んでゆく。
今日は練習が早く終わって時間に余裕ができたから、冷蔵庫の中身を補充するいい機会だとそのまま近くのスーパーに寄ってきた。ユニフォーム姿の男子高校生が食品コーナーで野菜の良し悪しを確認する姿はなかなかおもしろいものだったと思う。まあそんなのも慣れたけど。

一番端にある自分たちの部屋の前で袋を片手に持ち直してから鍵を取り出す。

「ヒロトが仕事から帰ってくる前に夕飯を作って風呂沸かしてー、あとは…って、なんか俺奥さんみたい」

ってなに考えてんだ俺。しかもちょっと嬉しいとか!てゆうか俺よりもヒロトの方が奥さんっぽいし、ほら、顔とか。
なんて考えながら部屋の鍵を差してノブを下げる。
「いや、でもやっぱ俺の方が…それにヒロトは旦那って感じもするしなあ。あ、でも料理はヒロトの方がうま…ってあれ?」
ガチャガチャと何度も扉を開けようとするが開かない。
鍵はあけたのに、と考えていたら内の方からカチャリと鍵のあく音がして浮かれていた頭が一気に冷えた。
え、だってこの時間はいつも仕事でだからぜったいそんな。

「おかえり、奥さん」


地面に落ちた卵が割れた気がした。



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