※高校生設定
「はるやはおれがきらいなの?」
「ああ、だいきらいだ」
たとえば俺が幼くも頭がまわる子供だったなら、いまこの瞬間俺はここにはいないだろう。
たとえば俺が素直で愛嬌のある子供だったなら、いまこの瞬間俺はヒロトの隣に肩を並べて歩いているだろう。
小さな学校の窓から切り取られた景色の中を歩くのは俺の知らない未来を秘めたいまである。
悲しいわけではない。俺が自ら導いたいまであるのだから。
俺は頭がまわるわけでも、素直なわけでも、愛嬌があるわけでもない。そんなものは努力で身につくものじゃないと知っている。
だから何も感じない。
ヒロトとあいつがグラウンドの白線を跨ぐようにして進んでゆく。その先は俺の知らない未来でもある。
「おれははるやがすきなのに」
たとえば俺が、俺じゃなかったら。なにか変わっていたかもしれない。ヒロトの隣に肩を並べることもできたかもしれない。
いや、どちらでもいい。
俺は俺でありいまはいまである。
ただ、その現実を理解しきるには俺が幼すぎるだけなのだ。
「ヒロト、はやくこいよ!」「まってよ守!」
俺はまだ、手探りで未来への脱出口をさがしている。
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素直になれなかったことを後悔している晴矢、家族としての愛情しかむけないヒロトと羨望の対象である円堂
説明しないとわからない、とかね…!