「…サングラス要らなかったかな…」


休日で皆出払っているのか、廊下を歩く間、誰にも遭わずに済んだ二人。

名前は安堵の溜息を吐き、サングラスを外そうとした。



が―――…




「――どうかねェ…」

「え?」




「名前」


「――?あ、お…総悟」

「…………」

「…………」


声を掛けられ、名前が振り向くと、沖田が不思議そうに近付いて来た。
彼は高杉を見、一瞬眉を顰めた後、名前の姿へ疑問を抱く。



「どうしたんでィ?ンなモンかけて」


「あーこれは……あれ、目の保護?」

「…まァ、いいですけど。で、二人で何してたんですかィ?」


「何でもねーよ。たまたまそこで会っただけだ」


(ガチャ)


今度は高杉へ話を振る沖田。
その声色は、名前へ向けたのとは少し違うものだが、高杉は流すように、フ、と鼻で笑いながら自室のドアを開けた。



「あああああの!」

「?」


「あ、っと〜…」

「何だ」


そのまま部屋へ入ろうとした高杉を名前は慌てて呼び止めるが、彼の表情と、今のこの状況を考え苦笑いを零す。



「――な、何でもない…」


「………じゃあな」

「う、うん」


(バタン)




「…………」


ドアが閉まったと同時に肩で一息吐いた名前を見、沖田はポリポリと、小さく自らの頭を掻く。


「もしかして、俺邪魔でしたか?」

「ううん、全然!あ、それより、何か用だった?」

「あァ〜……また今度でいいでさァ」

「?そう?」

「じゃ、また明日」

「うん…?」


あっさりとした彼の態度に、首を傾げながら背中を見送ると、名前自らも部屋へと戻っていった。






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