「いつからの知り合いなの?」

「小1からだな」

「長いね〜!高杉くんて、その頃からあんな感じ?」

「あぁ。昔からぶっきらぼうで尖っていた」

「へぇ〜、全然変わってないんだ」


食べ終えた食器を片付け、昔話に花を咲かせる名前と桂。
名前も徐々に明るさを取り戻し、桂の話を興味深く聞いている。



「だが、優しい部分もあるぞ」


「――うん…それは分かるな」

「おぉ、分かるのか」



「―――実は、さ」


「ん?……これは?」


名前は、あの写真を桂の前に差し出し、それを桂とエリザベスは覗き込んだ。



「これ…夜中なんだけど、誰かに隠し撮りされちゃったみたいなの」

「うむ………」

「“苗字さんの部屋のベランダか?”」

「あ、うん。私、夜中にちょっとあって……高杉くんに救われたっていうか……その……」


言いながら目を泳がせている名前に、桂は緩く口角を上げ頷く。



「あぁ。言わなくていいぞ」

「桂くん………」

「人には言いたくない事もある。だが…これに関しては、それだけでは済まなそうだがな…」

「うん…誰に撮られたのかが分かんないんだよね」

「下からということは、この学校の人間か」

「多分。でも、そう簡単には…見つかんないよね」


写真を見つめながら眉間に皺を寄せる二人。



「生徒は沢山居るしな。あとは…目的が何なのか……。高杉はこの写真、知っているのか?」


「―――…ううん。見せてない」

「言わんのか?」


「高杉くんに…迷惑かけたくないから……」


桂の問いに、名前は頼り無げに口角を上げると、視線を少しだけ逸らす。



「……………」


「……………」



「あ〜腹減った……ってあ、」

「ん?」

「!や、山崎くん」


少しの沈黙が流れかけた時、山崎が腹をさすりながら来た事により、桂と目を合わせ、名前は写真を仕舞った。



「あれ、これまた意外な組み合わせだね。二人で何話してたの?」

「ええっと…「そばの話をな」


“そ、そばって…蕎麦?”


山崎に気付かれない程度に名前が顔を引きつらせていると、桂が被せるように言葉を吐く。



「そば…?」

「あァ、ざるそば掛けそば天そば……山崎くんもどうだ?」

「い、いや〜俺はいい、かな……」

「そうか?」


「………じ、じゃあ、私そろそろ…」

「大丈夫か?」

「うん。桂くん、炒飯ご馳走様でした!」

「“気をつけてな”」

「ありがとう、エリザベス、くん!じゃね、山崎くん」


小声で心配の言葉を掛ける桂に頷き、礼を二人に言いつつ、山崎にも挨拶をすると、名前は自室へ戻っていった。





「……苗字さん、何か様子違う?」

「髪型のせいだろう。似合ってるじゃないか」

「いや…外見じゃなくて……」


あっさりと横を通り過ぎた彼女に、山崎は首を傾げるが、桂は何事も無かたっように茶を啜る。




“迷惑、か………”






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