** From:高杉晋助 Sub:無題 ――――――――――― コーヒー。屋上 −END− ** 朝に入手した、否、頂いたばかりのアドレス。 突然な上、初めての彼からのメール―――それは何とも彼らしい簡潔すぎる内容だが、分かり易いと言えば分かり易い。 名前は、直ぐに読み取れた。 ** To:高杉晋助 Sub:RE ――――――――――― 分かった!ちょっと待ってて! −END− ** 名前も簡潔に返事を送り、自動販売機への足を速める。 「…あれ?私って、パシリ?」 自動販売機の前に立ち、そんな疑問を抱くが、まぁいいかと一人頷くと、財布を取り出した。 「名前ちゃーん」 「わっ!!」 (チャリーン!) 突然、後ろから肩を叩かれ、驚いた名前は小銭を落とす。 「なーにしてんの」 「なんだ…銀ちゃんか」 「なんだとは何よォ。銀ちゃん傷付くゥ」 口を尖らせる銀八に苦笑いを零し、名前は落とした小銭を拾う。 銀八はそれを手伝いながら再び口を開いた。 「で?今お掃除中なんだけど?」 「いや〜ちょっと、喉乾いちゃってさ…」 「じゃあ銀さんのイチゴ牛乳あげよっか?名前には特別に」 「あ、いらない」 「うっ!今の一言グサッと来たよ!」 素早く手を振り、たった一言で断る名前に、銀八の心には矢が刺さった。 「今はブラックな気分なの」 「名前にブラックは似合わないよーだ」 「はいはい、どーせ似合わないよーだ」 (チャリン、ピッ、ガコン) 「じゃーね!」 「あ、オイ!」 何時までも此処で銀八と喋っていては、待たせているあの不良男子を怒らせてしまう。 名前は缶を持ち、銀八に短く挨拶すると颯爽と階段を駆け上がっていった。 ―――――… もう少しで屋上前の階段に着こうという時、名前は妙な気配を感じる。 「……?」 だが、後ろを振り向いても特に誰が居るわけでもなかった。 「何だろ?」 気のせいか。と心中で言い聞かせると、缶コーヒーを握り締め、屋上前の階段を上がる。 . [章割に戻る] |