「はよー」
いつからだっただろう。
「おはよ、花井」
「はよ」
朝練に、いつもより五分ほど早く着いた。ベンチにはすでに人の影。余裕持って出てきているものの、もっと早い奴だっているのだ。やる気あるのは自分だけじゃないんだって、そう思う。
「…」
でも今日だけはもう少し遅く来ればよかったんじゃないかなって、そう感じた。先にいた二人は一組の巣山と栄口。好きとか嫌いとか、そういうのではなく。寧ろ一組は気を遣えるし優しいからとても温かい存在だ。しかしそれとこれとは別物。
いつからだっただろう、この二人がいわゆる“普通”の友達ではないんだろうと思い始めたのは。
だから何だ、という感じだ。別に一般的な“普通”でないからといって蔑む対象には決してならない。こいつらにはこいつらの葛藤とか、それにも負けない気持ちとか色々あるだろうし。
ただ、無意識に甘ったるい空気を出してるからそこに一人で特攻するのは覚悟と勇気がいる。
「あ、巣山肩こってる」
「うーん、最近体が重いのはそれか。お前マッサージうまいな」
「ふふん、オヤジにいつもしてるからね」
「サンキュ。どれ、俺もやってやろう」
「ありが……っー!くすぐ、あはったい、あふ巣山」「何言ってっかわかんねーよ」
笑い合いながらマッサージし合うこいつらを見ながら、きっと色んなこと乗り越えていけるはずだろうと思った。
6.いつしか二人の纏う空気がどこか変わっていて
「おはよー…って何?」
「俺ぁ、今まで阿部の登場をこんなに喜んだことはない」
「はあ?」
こいつらなら、大丈夫
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