「巣山、おはよ」

雨が降り朝練が中止になった水曜日。教室に入ると空とは正反対の眩しい笑顔が迎えてくれた。自然と緩む口を開いて挨拶を返す。

「はよ、栄口」

栄口の後ろの席に座る。そういえばさ、とこっちを向きながら楽しそうに話す彼の言葉に耳を傾ける。考え方とか価値観とか、色々違うんだけど一緒にいて苦にならなかった。むしろ心地よくて。根本的な何かが、似ているんだと思う。俺よりずっと優しくて健気で一生懸命だけど。

他愛ない話をしていたら先生が入ってきた。業務連絡なんかして、チャイムが鳴る。いつも通りに始まる授業を受けた。雨音は鳴り止まない。

「雨止まないね」

睡魔にも負けず(栄口は何度かゆらゆらしていた)順調に授業を受け、昼休みになった。朝練後に食うはずだったおにぎりを弁当の前に食べるか。授業の話とか野球の話とか、色々しているとあっという間にご飯は胃に入ってしまった。満腹感に浸りながら栄口の言葉に返す。

「今日は校内で練習かもな」
「うん…あ、七組行ってこないと」
「え」
「今日の練習の話とかあるし、花井も阿部も今いるかな」

五時間目移動じゃないよね?と言いながら席を立った栄口の腕を、無意識の中で掴んでしまった。え、なんでだ、俺。

「す、やま?」

そんなの、答えは一つだ。

呆気に取られた彼の顔を見て、殊更明るく言った。

「俺も行こうかな」

1.いつのまにか好きになっていた

「うん!巣山も一緒行こう」
「水谷でもからかってっかな」
「あはは、水谷拗ねちゃいそう」

格好悪い、独占欲



***
巣栄の日2013!!ということで一週間お付き合いくだされば嬉しいです。
一応一週間後には…ラブラブ…してるのかなあ…





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