ドライヤーをすませて、巣山がいない部屋でシャワーの音を聞く。スポーツニュースが流れていて、明日のデーゲームのことを思い出す。晴れるようだから助かった。ドームじゃないから中止とかもありえるし。そういえば明後日高校野球の夏大決勝か。観に行きたいな。

巣山のプレーは好きだ。落ち着いた守備と周りをよく見ている打撃。長く二番打者を務めている俺とはまた違う野球を経験してきている。プレーと同じように、巣山も好きだ。温かい。一緒にいると、嬉しくなる。こんな気持ちはじめてだ。まだ出会って間もないのに、すっかり心を許してしまっている。それを認める度に、何か別の感情が浮かんできて。不思議だ。自分が分からない。

「よし」

すっきりするために歯を磨いて、またテレビを眺めてた。

聞こえていたシャワーの音が止まって、それからの記憶は無い。ただふと目を開けたらそこはリビングではなくて寝室だった。ベッドは巣山の匂いがした。眩しい。起き上がったものの、カーテンの隙間からの日差しについ目を閉じた。

「…ん」
「え」

隣から自分のものではない声が聞こえてきて、目線を落とす。

「す、やま」

綺麗に筋肉のついた裸が隣に寝ていた。その体はこの部屋の持ち主である坊主の物だった。

「っんー…朝?」
「う、うん、朝だよ」

つい目を逸らしてしまう。なんで一緒に寝てるの?ってなんで俺ベッドにいるの?巣山裸だし…え?

ばっと自分の体を見るとちゃんと服―巣山から借りたを身に纏っていた。よかった。って何あらぬ心配をしているんだ俺は。

「朝だよ巣山」

ぺちぺちと頬を叩き巣山を起こす。ぱちっと目を開けた彼は、むくりと起き上がった。寝起きはいいらしい。

「……はよ」
「……おはよ」

ベッドに男二人並んで起き上がっている光景は、何かシュールだと思って苦笑した。




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