「シャワー、先いいよ」

ご飯を食べ終え、野球中継も終わり、そのまま始まったバラエティーをぐだぐだ観ていたら、タオルとスウェットを手渡された。正直手持ちぶさただったからありがたい。

「ありがと」

俺は礼を言って立ち上がる。綺麗に完食した食器類をキッチンへと運ぶ。「そのままでいいよ」って言われたけど、泊まらせていただくんだし食器くらいは洗わせてほしい。
巣山も苦笑しながら「わかった」と告げ、傍にかけてあった布巾を手にした。俺が洗った食器を巣山が拭いて片付ける。何となく、しっくりきた。

「ありがとな」
「ううん」

男の友人と並んで後片付けをするなんて、今までなかった。誰かん家に行けば誰かが洗ったりしていた。ぼんやり巣山と結婚したらこんな日常なのかな、とか考えてしまった。酔ってんのかな、俺。

「じゃあシャワー、借りるね」
「おう」

変なことを考えてしまったから、巣山の顔を見られずにそのまま借りた物を持って風呂場へ向かう。洗面所で見た自分の顔は赤かった。酒の影響だと言い聞かせて素早くシャワーを浴びる。シャンプーもボディーソープも、巣山の臭いがした(坊主なのに有名ブランドのシャンプーがあって吹き出したのは内緒)。

俺の中では妙な想いが、渦巻いていた。




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