「わお」

まだ幼さの残る友人は、俺ん家に一歩踏み入れてすぐに声をあげた。どうした、と問うと笑いながら二度三度と頷く。

「はー、イメージ通りだったからさ」
「そうか?」
「うん。きっと巣山は一人暮らしでもゼータクして広めの部屋に住んでるんだろうなって思ってた。あと余計な物が一切無い」
「俺にどんなイメージ持ってるんだお前は」

あはは、と楽しそうに笑いながら靴を脱ぐ彼より先に中へ入り、電気を点ける。
学生時代は1Kの狭い部屋だった。バイトして、ちゃんと勉強もしながら、社会人になったら広くて寝室もある部屋で暮らしたいと思っていた。だから夢が叶って嬉しい。陽当たりも良いし駅も近場にあるからとてもありがたい。

「ソファーもふかふか」
「おう、ソファーとベッドどっちがいい?」
「えっ」
「寝る時、好きな方使いな」
「うーん、考えとくね」

ソファーにあぐらをかきながらニコニコ話す栄口。俺は一つ返事をしてスーパーの袋を開けた。テレビを点ける。野球中継も中盤に入っていた。

「とりあえず腹に入れるか。適当にやっていい?」
「お、手伝いますよ巣山先生」
「サンキュ」

野菜を洗って炒めて、肉やキノコも入れて、適当に味付け。あと食べたかったから魚も焼いた。昨日めんつゆに漬けておいたキュウリのタッパーを出して完成。あとはビールで乾杯。

「いただきまーす…って、えっと」
「はは」

普通にご飯食べる雰囲気になってしまったからそれでいい。乾杯はまた別の機会に。いただきます、と言って箸に手をつけた。






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