学生時代二遊間を組んでいたセカンドの友人は、サバサバしていて男らしい選手だった。何かと気にかけてくれて、実力も伴い皆から信頼されていたため主将を任されていた。中学、高校と同じだったその友人は、俺の中での二塁手像になっていた。

「ふー、今日も暑いね」

もう夏だね。とニコニコ笑いながらタオルで汗を拭く彼もまた、その友人と同じく二塁手で。俺の考える二塁手とは違った。でも、丁寧な捕球や垣間見る優しさから、信頼される安定した選手だったのだろうと思う。栄口もまた、立派な二塁手だったのだと。それと同時に、二遊間を組んでみたいと思う。大学でも主将タイプの二塁手だったため、栄口のような選手と組むことに興味があるのだ。

会話をしながら二人でキャッチボールをしていたら、随分時間が経っていたようだ。切り上げて並んでベンチに腰かける。

「キャッチボールしたら野球したくなったな」
「ね」
「栄口、草野球してるって言ってたっけ」
「うん。でもメンバー足りなくてあんまできてないや。同じ位の年代の奴ら集まってて、ピッチャー志望たくさんいてさ」

栄口は困ったように笑ってみせた。

「…俺も、入っていいかな」
「えっ、大歓迎だよ巣山。内野やりたい人あんまいなくて困ってたんだ。巣山と二遊間組めるなんて楽しみだなー」

社会人として会社に通っているようには見えない少年のような顔で彼は笑った。

「じゃあ話しとく」
「ああ、頼む」
「…」
「…飯でも、行くか」
「うんっ」

近くにあったラーメン屋は、初めて行くのに高校時代と同じ味な気がした。




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