誕生日プレゼント何がいい?
アメリカに行った栄治に電話でそう聞かれて間髪入れずに「栄治」と答えた。「バ、バカだろ宗!!」なんて照れていたけれど、本音だから仕方ない。
何も要らないから栄治に会いたい。寂しくなるから、この言葉は言わずにおいた。
***
「神さん誕生日おめでとうございます!!」
これ、部員一同からっす。
部活が終わり、信長に手渡されたのは色紙と綺麗な包み。
「開けて良い?」
「はい!!」
「…わ、タオル…ありがとう皆」
皆は嬉しそうに笑って、歌を歌ってくれた。
「おめでとうございますキャプテン!」
「ハッピーバースデー、神」
祝いの言葉をもらい、自然と笑みが溢れる。そして各々帰路についた。
俺は居残り練習。スリーポイントの成功率、できるだけ上げないと。栄治も今、海の向こうで頑張っているんだし。俺は窓から夜空を見上げる。
「…」
飲み物を飲むついでに電話を取る。栄治は…今、何してるかな。あっちは朝だ。色々考えながら、通話ボタンを押した。
『…もしもし』
「栄治」
『どしたん』
「…起きてた?」
『うん』
普段ならぽんぽん言葉が出てくるのに出てこない。一言「おめでとう」って言って欲しい。だけど、格好悪くないか。自分から祝ってなんて。はっきりしないの、自分らしくない。
「…ただ、声が聞きたかっただけ。じゃあ」
『そ』
あ、切ってしまった。
電話を置く。そしてひとつため息を吐いた。
同じ地球上にいるのに、いるはずなのに、傍に感じられないだけで、こんなにも遠くなる。
「…会いたいな」
「バカ」
「…っ!?」
独り言に返事があった。俺は振り向く。
「え、い」
「なんで電話切るんだよ」
「…」
「何驚いてんの。お、俺が欲しいって言ったの…お前だろ」
栄治は俺のすぐ傍に来て、首に手を回した。
「誕生日おめでとう」
「…っ栄治、俺汗かいてんだけど」
「そんなん、関係ない。こうしてたいの、俺のただのわがままだし」
「…」
「宗」
「?」
耳元で、優しく言われる。
「生まれてきてくれて、俺と出会ってくれて…好きになってくれて、ありがとな」
「…」
「今は離れてるけど…宗に出会えて、良かった。俺はっきり言えるよ」
栄治に出会うために生まれてきたなんて言ったら、大げさだと笑われる?でも、そう思わずにはいられなかった。
「ありがとう」
感謝と、出会えたことへの嬉しさを、唇に乗せてキスをした。
「よし、スリーポイント頑張るね」
「…せっかく来たんだから早く終わらせて、な」
「…頑張ります」
栄治は本当に可愛い。
***
大好きなあいちゃんお誕生日おめでとうございます!
遅れてごめんなさい(>_<)勝手に神沢送りつけます!受け取ってください!
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