「はよー」
「あ、工藤!!待ってた!!」
「自分でやれ」
「え」
「お前の顔見りゃ言いたいことくらい分かる」
「…か、課題、見せてほしいな…なんて」
「言っても答えは変わらん。自分でやれ」
「っこの、インテリ気取りの馬鹿野郎め!!」

何だろう。何かな。
俺は君島と工藤の二人を見てぼんやりと思った。

「どうしたん栄口」
「んーん、何も」

隣にいた巣山の問いに首を降った。

「栄口ー!!工藤がいじめる!!」
「うーん、やっぱ課題は自分でやれってことじゃないかな」

曖昧な返事を返す。課題なんてやってる暇ないなんて、そんなこと思ったけど実際巣山と協力しながら毎日こなしている。

「…お前に言われると説得力あんのは、ちゃんとやってるからなんだよな」

君島は真剣な顔をした。そして工藤に向き直る。

「工藤」
「何」
「あのさ、問二と問四が自分じゃできそうになかったから…解き方教えて欲しいんだけど」
「…見せてみ」

君島は「サンキュ!!」と言いながら嬉しそうにノートを出した。
そして二人で解き始める。

「あー君島いいなあ!!俺も教えて欲しい!!」
「で、ここが」
「あー!!そっか、これ使うんだ」
「無視!?」

途中で乱入してきた山口にびくともせずに勉強を続ける二人。

「ねえ巣山」
「ん?」
「あの二人ってさ、ラブラブだよね」

巣山は「あー…」と二人を見やる。そして納得したように頷いた。

「そうだな、ラブラブだ」
「…なんか巣山の口からラブラブって似合わないよね」
「んなことねーだろ。ラブラブラブラブラブラブ…」
「あはは、やめてー!」

巣山とじゃれていたら、君島が席を立った。

「サンキュー工藤!!俺なんか自信ついたわ!!」
「基礎しっかりしてたから応用きいたんだろ。よかったわ」
「え」

君島の顔はみるみる真っ赤に染まっていった。あ、珍しい。

「っ、な、なんだよ」
「普段、お前に誉められること…ないから…い、いきなりぶっこむなよな!!」
「し、知るか!!」

つられたように工藤の顔も染まっていって。二人は恥ずかしいように背中合わせに顔を背けた。

「おいバカップル、そろそろ授業始まんぞ」
「バ、バカップルってなんだよ巣山!!」
「皆が認めるお前らにだけは言われたくねーよ」
「はあ?」

キョトンとする巣山と俺。俺達別にバカップルじゃないよ。普通に仲良い…まあ大事な存在ではあるけどさ。うん。

「まあ、自覚ない内は周りしか見えないものよね」

近くでぼそりと呟いた委員長の言葉は、何となくしか聞こえなかった。



***
夷樽様よりリクエストの仲良し野球部から見た君島と工藤でした!
仲良し一組大好きなので楽しかったです。勉強教えるのすごく好きなシチュエーションなので乱用してしまいます。
夷樽様、素敵なリクエストありがとうございました!


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